2022年4月に起きた北海道知床沖の観光船沈没事故の民事裁判で、運航会社の元従業員が社長から事故当日「条件付き運航という指示はなかった」と述べていることがわかりました。

 26人が死亡・行方不明になっている観光船「KAZUⅠ」の沈没事故の民事裁判では、乗客の家族らが運航会社と桂田精一社長に対し約15億円の損害賠償を求めています。

 札幌地裁で4日開かれた3回目の弁論で原告側は、「桂田被告は安全管理体制を整えず悪天候でも出航を止めなかった」と改めて指摘しました。

被告側は「海が荒れる可能性がある場合は途中で引き返す『条件付き運航』だった」と主張していますが、弁護団によりますと、運航会社の元従業員は裁判所に提出した陳述書で「条件付き運航という指示はなかった」と述べているということです。

 原告側は桂田社長本人とこの元従業員の尋問を求める書面も提出しています。

 原告弁護団代表 山田廣 弁護士
「豊田船長とのやり取りだとか具体的事実に関して、過失の内容に直結しますので、その辺を聞きたい」

裁判所が桂田社長らの尋問を認めるかどうかは今後判断されます。

次回は11月20日です。