現在、熊本城では熊本地震で受けた被害からの復旧が行われています。復旧のために募金をした人には「復興城主」として市長名で「城主証」が発行されるといった特典が用意されていて、熊本市民に限らず全国から一日も早い復興を願って募金が集まっています。

その熊本城の天守閣は、西南戦争で焼失し昭和35年(1960年)に再建されたものです。当時の再建事業でも募金集めには随分知恵を絞ったようです。映像は、昭和34年(1959)年10月に「カワラ募金」が始まった際のニュースフィルムを、4Kの高解像度でデジタル化したものです(このサイトでは解像度720pで表示されます)。当時のニュースはこう伝えています。

「熊本城天守閣期成会では、天守閣につかう瓦を一般から公募することになり、去る1日から「カワラ募金」を始めました。

このカワラ募金には、一口100円の平瓦から3000円の鬼瓦に至るまで、全部で77963枚が用意されました。好きな瓦に自分の住所と名前を書いて、瓦の大きさごとに決められた額を募金すると、名前の入った瓦がそのまま天守閣の再建に使われます。

初日から出足は快調で、天守閣復元設計者の藤岡通夫博士も早速署名を済ませました。

一方、熊本城天守閣の再建工事は、来年8月の完成をめざして、今着々と進められています。こけむした石垣の上では、絶え間なく動き続ける13トンのクレーンが空高く鉄骨を積み上げて行きます。工事は順調に進められ、高さ15メートルの危険な足場で鉄材を組んでいく作業員達のたくましい建設の音が、今日も力強くお城の森に響き渡っています」

今行われている熊本城の復旧工事は、2032年度までに宇土櫓・本丸御殿の、2042年度には全ての重要文化財建造物の復旧を完了する計画です。主要区域以外も含めた全体の復旧完了は、2052年度を予定しています。