再生可能エネルギーで期待されている「洋上」の風力発電。政府の大プロジェクトを受注した大手商社・三菱商事などが撤退を発表しました。

さきほど行われた三菱商事の会見。社長自ら、重たい判断を説明しました。

三菱商事 中西勝也 社長
「洋上風力事業につきまして、誠に遺憾ながら開発を取りやめざるを得ないとの結論に至った」

政府が2月に閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」には、風力発電の割合を23年度の1.1%から40年度に4~8%に増やす見通しが示されています。なかでも海に囲まれた日本にあって有力視されてきたのが「洋上」の風力発電。

秋田県沖と千葉県沖での発電事業は政府肝いりのプロジェクトで、2021年に三菱商事などの企業連合が受注していました。ところが…

三菱商事 中西勝也 社長
「洋上風力業界を取り巻く事業環境が世界的に大きく変化した結果、入札時に見込んでいた金額と比較して建設費用は2倍以上の水準まで膨らんでいる」

建設資材や人件費の高騰などから、決算ではおよそ500億円の損失を計上していた三菱商事は採算がとれないと判断したのです。

建設予定地では…

記者
「千葉県銚子市に来ています。風が非常に強く吹いています。後ろに見えます沖合で工事が進められる予定でした」

「みんな何か活性化させたいということで、風力発電を期待していた人が多いと思う。見直してほしいと思う」
「少しは地元の起爆剤になればと思ったが、頓挫したということでかなりがっかり」

三菱商事などはペナルティとして保証金およそ200億円を国に払ってまで「撤退」の判断に踏み切りましたが、経産省幹部はこう指摘します。

経産省幹部
「天下の三菱の撤退で『洋上風力は無理では』と、二の足を踏むところもあるかもしれない。しかし、元々非常に安い価格で受注していたことも問題だった」

政府は速やかに事業者の再公募を行う方針ですが、一大プロジェクトが振り出しに戻ったことで国のエネルギー政策にも影響が及びそうです。