化学機械メーカー「大川原化工機」をめぐるえん罪事件で、警視庁と検察の幹部が勾留中にがんが見つかり死亡した元顧問の遺族に謝罪しました。

墓前で手を合わせる警視庁の鎌田徹郎副総監。墓には「大川原化工機」の元顧問・相嶋静夫さん(当時72)が眠っています。相嶋さんは、えん罪事件で勾留中、胃がんが見つかり死亡しました。

事件をめぐっては、今年6月、捜査の違法性を認め、東京都と国に賠償を命じた東京高裁の判決が確定。

警視庁は「現場の動きに組織がブレーキをかけられず、軌道修正を図れなかった」などとする検証結果を発表し、警察当局は、当時の幹部ら19人を処分や「処分相当」としました。

これを受け、きょう遺族への謝罪に臨んだ警視庁と検察の幹部。この場で相嶋さんの妻は、拘置所の所長に適切な治療を求めた手紙を紹介しました。

相嶋さんの妻
「自分だったらどのように命を延ばしていく方法をとるか。教えてください。私はわからなかった」

この後、幹部らは場所を変え、改めて謝罪しました。

警視庁 鎌田徹郎 副総監
「違法な捜査、逮捕を行ったことにつきまして、深くおわびを申し上げます」
市川宏 東京地検次席検事
「治療の機会を損失させてしまったことにつき、相嶋様、ご家族の皆様に対し、心より深くおわび申し上げます」

しかし、相嶋さんの遺族側は…

相嶋さんの長男
「検証結果および処分については、私としては受け入れることができません。さらに深く原因追究を行うべきです」

遺族らは、捜査の再検証にくわえ、事件の担当捜査員の降格と、処分が行われなかった検事の辞職などを求めています。