化学機械メーカー「大川原化工機」をめぐるえん罪事件で、検察幹部が死亡した元顧問の墓前で謝罪し、「どれほどのご心痛であったか、言葉もございません」と述べました。

「大川原化工機」をめぐるえん罪事件では、捜査の違法性を認め、東京都と国に賠償を命じた判決が確定しています。

検察と警視庁の幹部はきょう午前、勾留中に胃がんが見つかり、その後、死亡した元顧問の相嶋静夫さん(当時72)の墓を訪れ、謝罪しました。

墓前で相嶋さんの妻に「自分が同じ立場に立たされたらどうするか」と問われた東京地検の市川宏次席検事は、「自分の身に置き換えて考えると、どれほどのご心痛であったか、言葉もございません」と答えました。

謝罪の後、記者団の取材に応じた市川次席検事は「お墓の前では、このようなことに至った我々の至らぬ点、反省点について、お詫びを心の中で申し上げた」と話しました。

同じく謝罪した最高検察庁の小池隆公安部長は、「保釈請求に対する不当な対応によって、相嶋様の治療の機会の損失を生じさせましたこと、深くお詫びをした」と述べました。

最高検は一連の捜査の検証を行い、今月7日にはその結果を公表。勾留中の相嶋さんらの保釈請求への対応について、「罪証隠滅の恐れがあると判断して、一貫して反対意見を述べた」と明らかにしています。

その上で、「病状が生命に直接関わる重篤なものだと容易に把握できたのであるから、弁護人と連絡を取りつつ拘置所に診察・治療の状況などを確認する必要があった」とし、「あえて反対意見を述べないなどの柔軟な対応を取ることが相当であった」と結論付けています。

捜査に関わった検察官に直接指導を行ったものの、処分はしていません。

この点について、遺族側は「再調査と処分の再考」を求めていますが、検察側は「遺族のお気持ちについては重く受け止め、今後、再発防止の取り組みを進めていきたい」としています。