宮崎市のため池に夏の風物詩「ハス」の花が咲き誇っています。
実はこちら、ハスの名所ではないそうなんです。どうして増えたのでしょうか?そして、問題はないのでしょうか?

(渕 雅顕 記者)
「宮崎市の県道9号沿いにあるこちらの池にはたくさんのハスが広がっていて鮮やかなピンクの花が咲いています」

宮崎市恒久に広がる鳥ノ巣池。広さおよそ4.2ヘクタール、農業用のため池です。
この池の中央にハスが広がっています。一見、ハスの名所のようですが・・・

(記者)
「ここはハスの名所なんですか?」
(池を管理する上恒久水利組合 田島 一 組合長)
「いえ、名所ということはないですね。去年の3倍くらい増えていて、びっくりする」

田島さんによりますと、ハスが増え始めたのは去年ごろから。今年は、さらにその勢いが増しているといいます。

ハスの群生に近所の人は・・・

(近くの人)
「すばらしくきれいで、いつもここを通るたびに楽しんでいる」

ところが、ハスの大量繁殖はほかの動植物に影響があると、宮崎野生動物研究会の串間研之さんは警鐘を鳴らします。

(宮崎野生動物研究会 串間研之さん)
「単一の生態はやっぱりよくない。いろんなのがいた方がいいが、このままハスが広がったら、池自体にほかの生物が住めなくなる可能性がある」

鳥ノ巣池には県の絶滅危惧I類に指定されているオニバスが自生していますが、ハスの大量繁殖によって、追いやられてしまっているといいます。

このため、宮崎野生動物研究会は去年12月にハスの除去に取り組みましたが、今年は暑く雨が少なかったため、ハスにとっていい条件がそろい、急増してしまったのです。

(宮崎野生動物研究会 串間研之さん)
「在来種のかよわい植物、代表はオニバス。どのくらいもつかな?半年してここまでハスが来ているかもしれないし」
(記者)
「そうしたらオニバスは?」
(宮崎野生動物研究会 串間研之さん)
「もう全滅ですよね」

ハスの繁殖は他の池でも・・・

(廣末圭治記者)
「こちら佐土原町の巨田池です。一面が蓮の花に覆われています」

県総合博物館の学芸員、小玉昌孝さんによりますと、巨田池には県の絶滅危惧種II類に指定されているコウホネが生息。
しかし、21日、MRTが確認したところ、コウホネは見当たりませんでした。

夏に水面を彩る、神秘的なハスの花。その美しい光景の裏で、希少な植物が静かに危機にさらされています。

ハスは繁殖力が強く、池や湖を覆ってしまうほど繁殖してしまうと、鳥が羽を休められないなど、植物だけでなく、生き物にも影響が出るということです。