運転手不足による路線バスの減便や廃線が進む中、札幌で無料バスの運行が始まりました。仕掛けたのは、地域の医療機関です。
清田区を走る、1台の車。先月末から運行が始まった、その名も『きよっちメディカルバス』。区内の病院や商業施設などをめぐる、無料の『デマンドバス』です。
■仕掛け人は“地域の病院”無料デマンドバス運行開始
札幌美しが丘脳神経外科病院・髙橋明理事長
「清田区内を回る交通網がないんですね。区内を回るバスがあれば、直接いろいろ買い物、病院も一緒ですけれども、足が向きやすくなる」
デマンドバスを運行するのは、札幌市でもバス会社でもなく、区内にある10の病院です。
“地域の足”を守ることはできるのか。病院が手がける地域交通サービスを「もうひとホリ」します。
岡田純ディレクター
「札幌市清田区です。こちらは市内で唯一、JRや地下鉄の駅が無い区で、ここ数年、さらに路線バスの減便がつづき、交通弱者が多いと言われています」

清田区を走る路線バスは、豊平区や厚別区の地下鉄駅を起点とする路線が多く、区内を公共交通機関で移動する場合、遠いバス停まで歩くか、路線バスを乗り継がなければいけないのが現状です。
清田区民
「バスの便がすごく減らされたので、非常に不便になりました」
そこで導入されたのが、この『きよっちメディカルバス』。利用条件は、乗る場所か、降りる場所のどちらかを『病院』にすること。

スマートフォンなどから「予約専用サイト」で乗る場所と行き先を予約すると、AIが効率の良いルートを設定してくれます。
岡田純ディレクター
「早ければ、数分で迎えに来てくれます」
昨年度の実証運行では、停留所は病院だけに限られていましたが、今回は商業施設や区役所などを加え、停留所を30か所に増やしたことで利便性も向上しました。

実際に、1日当たりの乗車人数は昨年度と比べて2倍以上に増加。高齢者の外出する機会を増やす効果も期待されています。
病院の利用者
「私も今回は免許たまたま更新できたけど、次回更新できなくなったら…そこは不安だったんですよ。外に出る機会が年をとると少なくなる。外に出て歩けるから助かりますよ」
札幌美しが丘脳神経外科病院・髙橋明理事長
「清田区の弱点を解消したいという思いと、地域の足という思いが合致して、われわれでも、もしかしたらバスの運行ができるかもしれないというのが始まりです」