タイとカンボジアの国境地帯で先月発生した軍事衝突をめぐって、両国はそれぞれ日本などの大使を現地に招き、自国の被害をアピールしました。

タイ政府は1日、カンボジアとの軍事衝突により被害を受けた国境地帯に、日本を含めたおよそ20か国の大使や駐在武官、国内外のメディアを招待しました。

一行は、東部・シーサケート県で、砲弾が直撃したとされるコンビニエンスストアなどを視察しました。

記者
「ロケット弾が直撃したコンビニエンスストアに来ています。建物は黒く焼けこげ、骨組みが剥き出しの状態になっています」

タイ政府は今回、国境地帯の住民が避難している施設も公開。

軍事衝突が始まった先月24日から避難所にいるという女性は、JNNの取材に「砲撃の音が聞こえて、怖くてここに逃げてきた」「少しでも早く避難生活が終わってほしい」と語りました。

一方、カンボジア政府も1日、日本大使など各国の大使を北部・ウドーミアンチェイ州に招き、視察の場を設けました。

ASEAN=東南アジア諸国連合の議長国のマレーシアが準備する停戦監視団の結成を前に、タイとカンボジアがそれぞれ相手国による被害を国際社会にアピールした形です。

両国の軍事衝突をめぐっては、アメリカや中国も仲介して先月29日から停戦合意が発効していますが、タイ側がカンボジア軍の停戦違反を指摘し、カンボジア側が否定するなど、応酬が続いています。

タイ側の視察に参加した在タイ日本大使館の大鷹正人大使は、「停戦合意を定着させるために、日本を含めた周りの国が両国をサポートしなければならない」と話し、日本の役割を強調しました。

タイとカンボジアは、今月4日からマレーシアで国境問題について話し合う会合を開く予定で、停戦が維持されるのか注目されています。