中国・北京で開幕したサプライチェーンをテーマとした博覧会にアメリカの半導体大手「エヌビディア」が初めて出展しました。この背景にあるのは、米中の複雑な貿易交渉です。

中国で2年前から毎年開催されているサプライチェーンをテーマにした博覧会。今年は75の国や地域から、650以上の企業と組織が出展しています。

記者
「会場内でひときわ注目を集めているのがこちら、エヌビディアのブースです」

今年、アメリカの半導体大手「エヌビディア」が初めて出展したのです。

「エヌビディア」は14日、中国向けに性能を落として設計したAI=人工知能向けの半導体「H20」の出荷を再開すると表明しました。これはアメリカのトランプ政権が貿易交渉の対中政策として、今年4月に輸出規制の対象に加えていたものです。

米中間では一時、関税の応酬に発展していました。

アメリカ トランプ大統領
「中国は長年にわたり、我々の国から搾取してきた。誰よりも何よりも、我々からだまし取ってきた」

その後、米中は交渉を重ね、中国政府がレアアースの輸出規制を緩和。これを受け、アメリカ政府も譲歩し、今回、エヌビディアの輸出規制を緩和したものとみられています。

いま、エヌビディアの半導体は、AI開発を加速させていくうえで貴重な資源になっています。

エヌビディア ジェンスン・フアンCEO
「H20の輸出規制が解除されて、非常にうれしく思います。これで(中国)市場に提供できるようになります」

来場者
「エヌビディアは、AIの最前線にいる大企業ですね。きょう、自分の視野が広がりました」

一方で、何立峰副首相は、開幕式でアメリカによる各国への高関税政策を念頭に、こう釘をさしました。

中国 何立峰 副首相
「国際分業を人為的に破壊すれば、コストを高め、世界経済の発展を阻むことになる」

依然、先行きに不透明感が残るトランプ政権の対中政策。その行く末に、多くの企業が翻弄され続けています。