世界文化遺産登録から今月5日で10年を迎えた、長崎市の端島、通称「軍艦島」。建物だけでなく島を支える「護岸」の老朽化が進んでいることから、いま世界遺産では前例がないとされる海中での補修工事が行われています。

かつて炭鉱の島として栄え、5千人以上の島民が暮らした端島。

岩礁の周りを埋め立てて造られた人工の島です。

風化が進み、島を支える護岸に穴が開くなどして崩壊の危険性があることから、いま、市の委託を受けた業者が補修工事を進めています。

監理技術者・井手健一さん「ここの島自体がですね天候に左右される場所なので、(天候の)予測をたててやっていくことが大事で少し難しいところでもあります」

工事は、潜水士が海底に鉄の枠を打ち込むところから始まります。

その枠と島の間にミキサー船からコンクリートを流し込んで固めることで、護岸を補修します。

しかし、作業できる期間が限られるため、全体の補修には少なくとも十年以上かかると見られています。

現場代理人・村田隼人さん「端島はいろんな人の気持ちとかがこもって、ひとつひとつの物語があるような島だと思うので、たくさんの人に来てもらえるように1日でも長く端島を保存できるような工事を進めていければと思っています」

世界遺産登録から10年をむかえた端島。その価値を守るための工事はこれからも続きます。