チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は2日、自身の後継者について、死後に生まれ変わりを探す「転生」制度を存続するとの声明を発表しました。「他者が干渉する権限はない」として、中国政府をけん制しています。
ダライ・ラマ14世は6日に90歳の誕生日を迎えますが、2日に開かれた高僧らの会合にビデオメッセージを寄せました。
そのなかで、後継者問題について、自らの死後に生まれ変わりを探す「転生」の制度が「存続することを確約する」と表明したうえで、「過去の伝統に従い、後継者の認定の手続きを進めるべきだ」との考えを示しました。
ダライ・ラマ14世は66年前の1959年、チベットに進駐してきた中国共産党に反発して起きた抵抗運動「チベット動乱」を機にインドに亡命。インド北部のダラムサラにチベット亡命政府を打ち立て、今もダラムサラで暮らしています。
中国政府はダライ・ラマを「チベットの独立をたくらむ分離独立主義者」と批判しており、後継者問題についても「中国政府の認定が必要だ」と主張。中国政府が別の「ダライ・ラマ」を独自に擁立するなど後継者選びに介入することが懸念されることから、ダライ・ラマ14世が今回、あえて生前に後継者の候補を認定するのではないかとの観測も出ていました。
ダライ・ラマ14世は声明で、後継者の選出について「他者が干渉する権限はない」と中国政府をけん制していて、双方の対立がますます深まることが予想されます。
中国外務省の毛寧報道官は2日の記者会見で、ダライ・ラマ14世が「転生」制度を存続させるとの声明を発表したことに対し、「ダライ・ラマなどの転生については、中央政府の承認を得る必要がある」と述べ、「国家の法令に従って行わなければならない」と強調しました。
その上で、毛寧報道官は「どの宗教も存続・発展するためには、国家の社会環境や文化伝統に適応する必要がある」として、決定権は中国政府にあるとの考えを示しました。
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