広島県の 高校野球 を牽引し続ける名門・広陵高校。3年連続となる夏の甲子園出場、その先にある全国制覇へ。彼らの胸には、プライドと悔しさ、そして何よりも固い絆が宿っています。

4連覇を目指した春の県大会決勝。広陵は英数学館に2対1で惜しくも敗れました。

中井哲之 監督
「やっぱり一球の厳しさを教えられたんで、この1球の厳しさを本当に練習の中で積み重ねていくことしかできないんでその負けた悔しさを夏にぶつけるしかありません」

名門・広陵のプライドとこの悔しさは選手たちに火をつけ自主練習から課題克服に向けて取り組んでいます。昨年の甲子園を沸かせた先輩たちの背中を見て育った選手たちに、自覚が芽生えました。

白髪零士 選手
「去年までは先輩たちが引っ張ってくれていた分、自分たちが気楽にプレーはできていたんですけど、今年からはやっぱ自分たちが上級生なので、そのチームを引っ張っていこうっていう気持ちはあります」

広陵の注目選手は、中井監督も「肝が据わっている」と評価する4番・堀田昂佑。
春季大会では打率3割5分を上回る成績を残しました。

堀田昂佑 選手
「タイミングの取り方が上手だと指導者の方からも言われて、そこは多分誰にも負けないと思います」

打撃だけではありません。1年の夏から甲子園のマウンドを経験し、投手としてUー18日本代表合宿にも選出されました。

堀田昂佑 選手
「自分よりすごい選手ばっかりでいろんなトレーニングの仕方だったり、練習の意識の仕方っていうのはいろいろ刺激になりました」

合宿で得た知識や意識は惜しみなくチームに還元しています。

堀田昂佑 選手
「飛び抜けた選手はいないんですがチーム力で勝っていこうというチームです」

この春、広陵のチーム力を象徴する出来事がありました。きっかけは、3年生投手 榊原幸道 でした。彼の母・かおりさんががんのため入院。それを聞いたチームメイトたちは、居ても立ってもいられませんでした。

中井哲之 監督
「3年生を中心に1日で千羽鶴を作り上げて、その千羽鶴に自分の思いを、自分の夢を書いてですね、病院に一緒に持ってってくださいっていうことで1日で作って」

これには、榊原も言葉を失いました。

榊原幸道 選手
「サプライズでみんながこうしようと思うと言ってくれて一番はびっくりしたのとびっくりした勢いで、泣いてしまいました。持って見せに行ったときはもう見た瞬間に泣いて喜んでくれてそれを見て元気を出していました」

チームメイトの友情は、榊原と母・かおりさんに勇気を与えました。

中井哲之 監督
「3日1週間が山って言われてたんですけど、2ヶ月ぐらい頑張ってもらってすごくその千羽鶴を大事にしていただいてですね。びっくりしたし人の強さっていうかぬくもりと、それはもう僕も感動してですね。僕はもう鳥肌が立ったし、僕も頑張って千羽鶴おりましたけど、教えて欲しいって言いながらなんか泣きながらおりました」

榊原は怪我のため、夏の大会でグラウンドに立つことは叶いません。母・かおりさんは亡くなり、スタンドで応援することもかないません。しかし、目指すものを失ってはいません。

榊原幸道 選手
「これだけ多くの仲間が自分のためだけにしてくれたんで、次は自分が先頭に立ってチームをサポートして、夏必ず甲子園日本一を取れるように頑張っていきたいと思います」

仲間を想う気持ちが、チームの絆をさらに強くします。この夏にかける想いと団結力はどのチームにも負けていません。

堀田昂佑 選手
「最後は笑って終われるように夏必ず甲子園に出て甲子園でも優勝できるように頑張りたいなと思ってます」

中井哲之 監督
「優勝しかないっすよ。監督より燃えてもらわんとですね。僕が一番燃えるようじゃ、勝ちたいようじゃね。最後の試合も必ず来ると思うので、出し切る、やり切る。信じ切る。」

広陵高校野球部。ただ「勝利」を追い求めるだけではありません。「仲間」と共に。この夏、甲子園の頂点を目指します。