6月21日(土)「丸の内 TOEI」で上映された『あぶない刑事』(1987)の舞台挨拶に、主演の舘ひろしさんと柴田恭兵さんが登壇しました。

舘ひろしさん & 柴田恭兵さん



1960年9月に開業した映画館「丸の内 TOEI」は、再開発に伴い2025年7月27日に閉館。約65年の歴史のグランドフィナーレを彩る「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトでは、2025年7月27日(日)まで傑作特集上映を行っています。

舘ひろしさん



鳴り止まない拍手の中登壇した2人。はじめに舘さんが “私は50年以上前、東映の『暴力教室』という映画で俳優としてデビューして、本当に「丸の内TOEI」は私の中で思い出深い映画館です。柴田恭兵という俳優さんと出会えたことで、私の映画人生がとても華やかなものになりました。”と挨拶。

柴田恭兵さん


続けて柴田さんは、“(この映画館は)こんなに狭かったかなと思っています。聞いたところによるとものすごい倍率の中でこの客席をゲットされた強運のみなさん。もう運がいいぞオーラがすごいです。「あぶない刑事」は運だけでやってきた映画ですので、会いにきてくれて本当にありがとう。僕たちも会いたかったです。今日はどうもありがとう。” と挨拶し、会場は再度暖かい拍手に包まれました。

柴田恭兵さん


「印象に残っている舞台挨拶は?」との質問に、柴田さんは “ここではなかったんですけど舞台挨拶が終わって、スタッフ集めて乾杯することがあって、当時の東映社長の岡田茂社長が「柴田くん、この映画はようわからんのう。ヒットするんかい」っておっしゃったんですよ。もうカチンときまして、「社長にわかりやすい映画はヒットしません。わからないから絶対ヒットします」と啖呵を切ったことを思い出しました” と明かしました。

舘ひろしさん


『あぶない刑事』は1986年10月〜1987年9月末までテレビシリーズとして放送され、1987年12月に映画が公開されました。映画化の話を聞いた時の当時の心境を伺ったところ、舘さんは、 “僕はTVシリーズをずっと続けるつもりだったんで、早く終わっちゃったなと思って…それでちょっと面倒くさいかなと。でもこの映画は、最初公開になった年、(当時の事務所代表で俳優の)石原裕次郎さんがその夏に亡くなったんです。それで石原さんのお宅にお邪魔して、それでパンフレットとチケット持って「社長、今日公開でした。お客さんもいっぱい入りましたよ」と” と、当時のエピソードを明かしました。

柴田恭兵さん


さらに、撮影中の思い出に残った出来事として、舘さんは “たったこれだけのカットを撮るのに大騒ぎしたのをすごく覚えてます。” “僕がトラックに飛び乗るシーンは、僕が提案したんですね。あのシーンがあってもなくてもいいんです。追っかけて結局捕まえられないんですから。ご覧になった方はわかると思うんですが、あのシーンはあってもなくてもいいんですよ。長谷部安春監督に「僕オートバイからトラックに飛び乗れるかもしれない」と” “僕もやったことないんですよあれ、一度もやったことなかったんですけど、なんかできる気がしたんですよ。” “あのシーンは撮影のいちばん最後の日に撮ったんですよ。僕がどうなってもいいように。” という、興奮のエピソードを明かしました。

舘ひろしさん


それに続けて舘さんは、“『あぶない刑事』の形ってのは恭さまが作ったものだと思うんですね。多分僕の役割っていうのは、家だとしたら僕は土台で、しっかりした土台をいつも作るようにして、そこに立派な建物を恭さまが作ってくれたって感じだと思いますね。”“最初の頃は恭さまが色々面白いギャグをやってね。若かったので僕もちょっとやりたくて、面白いこと言おうとすると、監督に辞めた方がいいと言われた。僕は面白いギャグを言う才能がなかったのかもしれないですね” と語り、会場は笑いに包まれました。

舘ひろしさん 柴田恭兵さん


さらに、劇中で、タカと勇次がタンゴを踊るシーンについて言及されると、舘さんは “あれも僕が「タンゴを踊ったらどうですか?」っていたら「タンゴですか、いいね」って。割と軽い気持ちでやったんですけど、言わなきゃよかったなと。あれアスファルトだったんですね。その当時のステージっていうか撮影スタジオってもう暑くて。それで2人で抱き合って、いや大変でした。汗が。” と振り返りました。柴田さんはそれに対して、 “舘さん汗っかきなので。全然違うんですよ、テイストが。女性の好みも。”と砕けつつ、“ずっと楽しかったですね。ずーっと楽しかったです” と当時の思い出を噛み締めるように語りました。

さらに、印象的なエピソードについては柴田さんは、“最後に必ず舘さんがハーレーでショータイム。やっぱりそのシーンは、ほとんどの撮影が全部終わって、いつ転倒してもいいように、必ず最終日に近い日に撮影するんですけど、正直祈ってました。「絶対に怪我するな」と祈ってました” と語りました。

舘ひろしさん 柴田恭兵さん


最後に、舘さんは “本当に僕にとっては思い出の詰まった映画館です。本当に寂しい気もしますけど。” “東映の映画をずっと応援してください”と語り、続けて柴田さんは、“「丸の内TOEI」は7月27日を持って閉館となりますが、我が『あぶない刑事』は永久に不滅です!”という長嶋茂雄さんの現役引退セレモニーをオマージュした挨拶で締めくくり、会場は笑いと大きな拍手に包まれました。

【担当:芸能情報ステーション】