新潟市の拉致被害者 横田めぐみさんの弟・拓也さん(56歳)が8日、上越市で講演し「一人一人が我が事として考えて」と訴えました。

およそ230人を前にマイクを握った横田拓也さん。

会場に映したのは、2004年に北朝鮮が提示してきためぐみさんの写真です。

【横田拓也さん】
「こんなに悲しい目、苦しい目、寂しい表情は見たことない。皆さん自身がこの写真の向こう側に座らされていたら、何を私たちに訴えますか」

1977年11月15日、寄居中学校の1年生だったときに北朝鮮に拉致されためぐみさん。

再会を果たせないまま、父・滋さんが亡くなり、6月5日で5年となりました。

めぐみさんの失踪が拉致ともわからなかった当初、拓也さんは、滋さんとある会話を交わしたそうです。
残された弟たちを思いやり、犬を飼ってくれた滋さんと“下を見ながら”散歩をしていたときのことでした。

「落ち葉を見ながらめぐみが着ていた制服のボタンとか、かばんの一部とか靴の片方とかが落ちているかもしれないと」

「『そういうふうな目で実は散歩をしている』と言ったら、父親もいつも自分もそうやって散歩をしていると、1回だけそのときに教えてくれました。常に探し続けていたその苦労や苦しみを知ったときにものすごく衝撃的な思いがして」

母・早紀江さんらとともに7日、滋さんの墓参りをした拓也さん。

「父 滋がめぐみと会えなかった無念さを絶対に晴らすために、私は声を出し続けて諦めることなく、負けるわけにはいかないこの闘いを歩んでいきたい」

北朝鮮による拉致被害者 横田めぐみさんの弟・拓也さんは、全ての拉致被害者の一括帰国を実現するために「一人一人が自分の問題として考えてほしい」と訴えていました。