先週、第三者委員会の会見で、前代未聞の不正が明らかになった福島県のいわき信用組合。2日、会見後初めての営業日を迎えましたが、利用者からは厳しい声が上がっています。

30日に行われた、いわき信用組合の一連の不正をめぐる第三者委員会の会見。調査では、組合がおよそ20年にわたり、口座の無断開設やう回融資で、247億円あまりの不正融資を行っていたという前代未聞の不正が明らかになりました。

会見後、初めての営業日を迎え、利用者は…。

組合員・60代「預金とか預かっているところでの信用が、全くもって前代未聞と報道されていますが、怒りしかないです」

組合員・70代「うみをいっぱい出して新たな組合としてやってもらいたいなと思う」

取引のある人・70代「ちょっと無責任かなと思いました」

第三者委員会の報告書によりますと、無断で顧客名義の口座を作り、融資をする不正を行っていたのは、旧支店も含めて16店舗に及んでいます。さらに、融資をするための借入申込書の債権書類の偽造は、理事への職務の監督を行う当時の監事を含む役職員25人が行っていたということです。

こうした架空融資に無断で使われた顧客の名義は260件に上り、その多くに保証人が設けられていて、保証人名義も同様に本人に無断で使用されたとみられています。

報告書では、組合がこうした不正を組織ぐるみで隠ぺいしていたと指摘しています。外部監査の目を逃れるため、1口座あたりの不正融資金額は、監査対象から外れる5000万円以下に設定。また、相当数の役職員が偽造を認識しながら見て見ぬふりをしていたほか、怪しい融資に疑問を抱いた職員には、支店長や融資担当者から「会社にいたければ黙っているように」などと圧力をかけていたということです。

一方、調査を経てもなお8億5000万円から10億円の資金の使途が不明となっています。

こうした中、組合員が不正に関わった江尻次郎前会長を銀行法違反などの疑いで、福島地検いわき支部に刑事告発したことが関係者への取材で明らかになりました。

いわき市は2日、事業者の資金繰りの混乱を防ぐため、市役所など市内10か所に相談窓口を設けました。信用で成り立つ金融機関の不正に波紋が広がっています。