アメリカの名門ハーバード大学で卒業式が行われました。トランプ政権が圧力を強める中、卒業を迎えることができた日本人の留学生が不安だったという胸のうちを明かしました。

ハーバード大学 アラン・ガーバー学長
「2025年の卒業生のみなさん。地元から、全米から、そして世界中から集まりました。これがあるべき姿です」

29日行われたハーバード大学の卒業式。学長の呼びかけに大きな歓声が上がりました。

卒業生代表の一人として登壇した中国からの留学生は。

卒業生代表(中国からの留学生)ユーロン・ルアナ・ジャンさん
「私たちは互いの伝統を体験し、互いの重荷を分かち合いました。するとグローバルな課題も突然、個人的なものに感じられたのです」

トランプ政権と大学の対立が深まる中、卒業生からは留学生の存在意義を訴える声が相次ぎました。

そして、この日を複雑な思いで迎えたのは、日本からの留学生も同じです。

ハーバード大 大学院を卒業 岡部晴人さん
「いろいろあって、最後は本当に大変な2週間くらいでしたけども、とりあえず自分の代は無事、学位を授与されて、本当によかったなと思っています」

政権の圧力を目の当たりにし、留学生の立場の弱さを身をもって経験した岡部さん。

ハーバード大 大学院を卒業 岡部晴人さん
「自分のいる国というものが、自分の存在というものを認めていないということでもあるので、その不安は非常に大きくて」

気がかりなのは、今も大学で学ぶ友人たちです。

ハーバード大 大学院を卒業 岡部晴人さん
「今の政権の状況を考えると、何が次に来てもおかしくないというところがあるので、そういう意味では、すごく不安に感じながら、学生生活を送ることになるのかなと」

連邦地裁は29日、留学生受け入れ資格の取り消し措置について、一時差し止めを継続する方針を示しました。判事は今後、正式な差し止め命令を出す意向で、当面は大学が留学生を受け入れられる状況が続く見通しとなりました。

それでも、留学生の不安はぬぐえません。政府の報復を恐れ、匿名で取材に応じた日本人の研究員は。

日本人の研究員
「今後、政府が何をするのか分からず、為す術もない状況。入国できなくなるかもしれないので、アメリカを出ないようにして、経過を見守るしかない」

海外からの研究員と一緒に研究を進める助教授は、この夏から予定していた人員の受け入れができなくなる可能性に直面しています。

ハーバード大医学部 堀田亮 助教授
「もし本当に外国人を全員追い出すということになれば、うちのラボ(研究室)は潰れることになりますね、おそらく。ここ(ハーバード大)だからできてたという面は、おそらくあるんですよね。資金面でも、それぞれの人材が自分たちの専門を持って集まることによって、いろんな融合とか統合が行われて、(研究を)やってた部分があるので」

教育や研究でも世界をリードしてきたアメリカ。政権の圧力は、その立ち位置にも影響を与えそうです。