政府は、放出を決めた2021年産の備蓄米について、5キロで1800円程度になる見込みであることを発表しました。主食の価格の乱高下に、小売店や生産者からは困惑や憤りなどさまざまな声が聞かれます。

(グランドマート 岡本和恵取締役)
「こちらがお米コーナーです。Qかなり在庫が。そうですね当社も他のスーパーに比べたらもともと米の在庫が多いんですが、やはり月曜日に備蓄米の報道があってからパタッと売れ行きが落ちましたね。どうしたものかなと思っています」

岡山市北区にあるスーパー“グランドマート”です。来月(6月)から7月にかけては、4月に仕入れた2023年産の米やアメリカ産の米を、5キロで税抜き4000円から3800円程度で販売する予定ですが、今頭を悩ませているのが…

(小泉進次郎農林水産大臣)
「週明けには2000円の備蓄米を見るわけです。そして町のお米屋さんに今度は1800円くらいのお米が行き渡ります」

政府が放出を決めた2021年産の備蓄米。小売価格は5キロで1800円程になると見られていて、2022年産のものについては、すでに1980円でインターネット販売を始めている業者もあります。急遽飛び出した破格の米にスーパーの経営者は…

(グランドマート 岡本和恵取締役)
「令和の米騒動を受けて2か月、3か月先までのお米を高い原価で全部手配してしまっていたので、急に2000円代のお米を売るとなって、3か月先まで押さえたコメをどうしようということで、本当に憤りを覚えました」

現在の販売価格の半額となる備蓄米に多くの消費者が流れ、これまでの米の買い控えが起こる可能性を危惧していました。

グランドマートなど岡山県内の中小スーパー4社でつくる共同仕入れ組織・シーエムシーは、全国組織のシジシージャパンからの備蓄米の調達を行うことにしています。

米の価格破壊ともいえる備蓄米の登場に生産者も複雑な思いを抱いています。

(生産者 宮尾廣実さん)
「もうその時々によって割りと振り回される面が強いのかなと」

より安いものを求める消費者の心理は当然とする一方、国民の注目が米の価格に集まることが米の価値を見直すきっかけにつながればと話します。

(生産者 宮尾廣実さん)
「食べること、命にかかわることだから、それはもう等しく皆さんにいかないといけない部分があるんだろうとは思うんですけど、じゃあそれを作っている人たちが涙を飲んで後継者がいないとかというのはちょっとおかしいんじゃないかなと。4000円、5000円になっても買えるような社会が必要なのかなと」

乱高下する主食の価格。備蓄米の放出は、令和の米騒動終息に向けた一手となりえるのでしょうか。