「音楽を通して希望をもってもらいたい」そんな願いから始まった「こども音楽コンクール」。そのコンクールで全国の頂点を目指す学校にスポットをあてます。コロナ禍の限られた時間の中で、練習に取り組む子どもたちの情熱と、熱血教師の“魔法のタクト”に込めた思いに迫ります。
福島県須賀川市の西袋第一小学校、46人の子どもたちの演奏です。「こども音楽コンクール」は、戦後の1953年に誕生した小中学生が合唱や合奏を披露する全国的なコンクールです。

10月上旬に行われた東北大会には、県大会を勝ち抜いた東北6県のあわせて44校が出場。今年は無観客での3年ぶりの会場審査となりました。
去年は全国2位の成績を収めた西袋一小、今年の目標は東北大会を勝ち抜き、全国での頂点です。
西袋第一小学校・添田浩明教諭「30分しか時間がありません。それを1時間の練習にしていくんです。集中すれば1時間の練習になるはずです」

指導するのは、7年前に赴任してきた教諭の添田浩明さん。コロナ禍で、練習時間を例年の半分以下に減らすなどさまざまな制限のなかで、1分1秒を大事に練習に集中します。
目標に向かってまっすぐな視線の子どもたちを、添田さんは、体全体を使って導いていきます。
添田さん「一回勝負です、いきます!」
今年の演奏曲は「歌劇「ジョコンダ」より時の踊り」。添田さんが17年前に母校の安子島小学校で全国大会に出場した時の曲です。
添田さん「やはり友達の音をいかに聞きながら自分の音色を合わせていくかだから、よく耳を澄まして友達の音を聴いていきなさいというのはいつも口酸っぱく言っています」
相楽桃花部長(6年)「全国に行って金賞が取れるように頑張りたいなと思って練習をしています」

そんな合奏部のシンボルが、コンクールで振られる「タクト」。添田さんが音楽を始めるきっかけになった小学生時代の恩師から、亡くなる直前に譲り受けたものです。
添田さん「教え子はいっぱいいるけど、音楽の合奏をやっている教え子は誰もいないから添田君にあげるよと。安心して演奏できる、本当に私にとっては魔法のタクトかなと思います」

添田さんは、「魔法のタクト」をいずれは、子どもたちに”つなぐ”ことを夢見ています。