知日派の国際政治学者として知られ、沖縄の基地問題をはじめ、日米関係に関する提言を続けてきたジョセフ・ナイ氏が亡くなりました。88歳でした。

米・ハーバード大学は現地時間7日、名誉教授のジョセフ・ナイ氏が6日に亡くなったと明らかにしました。

ナイ氏は、1994年にクリントン政権の国防次官補に就任し、東西冷戦後の日米安全保障を再定義し、同盟強化を進める政策に取り組みました。

また、今年4月に亡くなったアーミテージ元国務副長官らとともに作成した政策提言「アーミテージ・ナイ報告書」は、日米外交や東アジアの安全保障に大きな影響を与えました。

ジョセフ・ナイ氏(左)とアーミテージ氏(右・故人)

当時の提言では、沖縄に駐留する米軍の訓練や部隊の配置をアジア太平洋全域に分散することで、基地負担を軽減させることなどが盛り込まれ、沖縄の基地問題とも深い関わりがありました。

国際政治学者としては、軍事や経済力などの「ハードパワー」ではなく、文化や政治的な価値観で国際社会での影響力を高める「ソフトパワー」の考えを提唱。外交や国際関係の分野を中心に注目を集めました。