新潟県 長岡市の与板地域で古くから地元に愛される商店街のアーケードが、撤去される方針となりました。苦渋の決断の裏には老朽化や金銭的な負担、地域の高齢化など様々な事情がありました。
長岡市 与板地域の商店街。

アーケードのある昔ながらの街並みは住民や訪れた観光客に親しまれています。
ただ…
【記者リポート】「きょうのような暑い日には日差しをよけるにも役に立つこちらのアーケードですが、早ければ夏にも、撤去される方針となりました」
撤去の大きな理由は『老朽化』です。長岡市は去年発生した能登半島地震の後に強度の診断を行っていました。

【長岡市与板支所 地域振興・市民生活課 井上靖司 課長】「(今のような)耐震という概念がない時代の建設なので、横揺れに対しても耐震がなく、積雪に対しても耐えることができないという調査結果となって、アーケードを通行する人の安全を第一に考えて、撤去せざるを得ないという方針になった」

1.7キロほどに渡って連なるこのアーケードは1962年から1973年にかけて設置され、古いものでは60年を超えています。

アーケードは現在、市が所有していますが、維持や管理は商店街沿いの町内会で構成する管理連絡協議会が担っています。

ただ、経年劣化で費用がかさみ、昨年度の修繕費はおよそ145万円。塗装や補強工事のため、このところは毎年同じくらいの費用がかかっているそうです。

このうち半額程度の補助を市から受けていますが、残りは人口減少などで世帯数が減りつつある地元の町内会の負担です。

【アーケード管理連絡協議会事務局 長谷川清さん】「これからはもう修繕がどんどん増える形になるから負担も増えていく。お金の問題でも」

【商店街で時計店を営む人は】「慣れているからね。これがなくなるのはちょっと寂しいかなと思うけど、維持費が大変だからね。お年寄りが多いし、年金から毎年どんどん修理代がかかる」

2018年には大雪の影響で、アーケードが10m以上崩れ落ちる被害が発生。
【記者リポート(当時)】
「こちらの崩れ落ちたアーケード以外にも、あちこちでその前兆が確認されます。こちらでは、雪の重みで屋根が折れ曲がっているのがわかります…」

当時から高齢化も進み、豪雪時の“雪下ろし”も課題となっていたのです。

【アーケード管理連絡協議会事務局 長谷川清さん】
「減少する会員の問題と、老朽化の問題、事故があった時の責任問題…」
「それを考えて、仕方がなかったが、みなさん苦渋の決断」

【長岡市与板支所 地域振興・市民生活課 井上靖司 課長】
「アーケードがなくなっても、商店街や家並みの連続性は変わらないわけなので、今後も“城下町”の町並みや歴史資源を生かしたまちづくりを進めていきたいなと」

長岡市ではアーケードの解体費として、1億1000万円を2025年度予算に盛り込んでいて、夏ごろから撤去作業を始め、次年度中に完了する見通しだということです。
