地域で長く愛されながらも、後継者がいないために廃業する店や企業が全国で相次いでいます。こうした中、岡山市北区御津地域では釣具店が意外な形で引き継がれました。事業承継に悩む人にとってはヒントになるかもしれません。

釣りに欠かせない、ウキや、釣り針、それに釣った魚を一時的に保管しておく「びく」などを扱うこちらの店。そのすぐ横で販売しているのは…薬です。実はここ、釣具店ではなく…薬局です。

(成広薬局 成広和朗社長)
「(創業は)大正6年ぐらいですかね、おじいちゃんの代から、大正6年ぐらいからずっと薬局です」

薬局があるのは岡山市北区の御津地域。街のすぐそばを流れる旭川はシーズンになると天然の鮎やウナギなどが釣れる県内有数のスポットとして愛好家に知られています。

成広薬局はここで1917年に創業しました。現在は地域で6店舗を展開。釣具コーナーを設置しているのはJR金川駅近くにある金川店です。成広さんがコーナーの設置を決めたのは8年前。近所にあった丹治釣具店が後継者がいないために「廃業する」と聞いたことがきっかけでした。

(成広薬局 成広和朗社長)
「奥さんと話をしている中で、(店を)やめるときがあったら、(僕が)してもええかなって冗談半分で言ってたんですけど、体調とかが悪くなったのもあって、(奥さんから)やってもらえないかって話を急に言われまして、ちょっと考えて、私も釣りが嫌いではないので、じゃあちょっと頑張ってみようかと思って始めた」