山口県宇部市の発展を支えた実業家・渡邊祐策の生家に、128年前に植えられたフジ棚があり、見頃を迎えています。

フジ棚は「松巌園」と呼ばれる渡邊祐策が生まれ育った家の庭園にあります。

渡邊祐策のひ孫・渡邊裕志さん
「祖父が近所の桃山というところからフジの苗木を持ってきて、お父さんである渡邊祐策にフジを植えていいか、と言って、ここへ植えたのが最初で。それから今130年近く」

フジ棚を管理しているのは3年前に東京から移り住んだ祐策のひ孫・渡邊裕志さんと、妻の絹代さんです。

1メートル以上の花をかき分けていたという以前のフジ棚を目指し、日々手入れをしています。

渡邊絹代さん
「フジ棚は市民の方がすごい愛して下さっていたんですよ。皆さんここでお弁当食べたりね。もうすぐそうなるように頑張ります」

フジの苗木が植えられたのは、祐策が頭取を務めた「沖ノ山炭鉱」の創業と同じ、128年前の1897年。

宇部市の発展とともに成長し、現在は100畳ほどの大きさになりました。

渡邊祐策のひ孫・渡邊裕志さん
「我が家ではいつも、このフジ棚は沖ノ山炭鉱と同い年だから大事にせえよと」

祐策が、妻と老後を過ごすために作ったという和室には、山口市出身の画家、兼重暗香がフジ棚に感銘を受けて描いたというびょうぶも飾られています。

庭園や和室は無料で開放され、自由に見学できます。

山口大学大学院の学生
「すごくきれいなフジ棚が出迎えてくれて、家の方もお人柄がよくてたくさん説明していただいて、すてきな時間になりました」

渡邊祐策のひ孫・渡邊裕志さん
「渡邊の家の継承者としての責務のような感じで、少なくとも私の子、孫にはつないで行きたいなと思います」

渡邊さんは今後もショウブやバラなど、さまざまな花を楽しめるようにしていきたいと話していました。