これからの時期必要な熱中症対策について、気象予報士の山岸さんに伝えてもらいます。
(山岸拓 気象予報士)
「暑い夏に向けて、消防士が今の時期行っている熱中症にならないためのトレーニングを取材しました!」
(山岸拓 気象予報士)
「きょうはスタジオを出て初めてのリポート頑張ります」

いつも「そらいろ図鑑」で天気の情報を伝えている気象予報士の山岸さん。実はちょっと珍しい経歴を持っています。
(山岸拓 気象予報士)
「実は私、元消防士なんです昨年度まで計6年間消防士をしていました」
山岸さんは、もともと新潟県で消防士として災害救助などにあたっていましたが、災害が起きる前にできることはないか?と気象予報士の道に進みました。

そんな山岸さんが気象予報士と消防士両方の特徴を生かしたリポートに挑戦!
今回、訪れたのは高知市中央消防署こちらで行われている熱中症対策の訓練とは?
(山岸拓 気象予報士)
「隊員の皆さん、防火服に防火ヘルメットとフル着装で訓練に臨もうとしています」

「暑熱順化の訓練の準備をしている」

“暑熱順化”とは、体を暑さに慣れさせること。
真夏にいきなりフル装備で活動するといくら消防士と言えども熱中症になってしまうということで、比較的涼しい今の時期から防火服などを着た状態で訓練を行い、暑さに慣れるということです。

(山岸拓 気象予報士)
「まずは強度の軽いランニングから訓練を始めています。呼吸器に防火衣あわせて20キロ前後の重さの装備を着けて訓練をしています」

帰ってきたら休憩・・・ではなく。
「その場に腕立て伏せ!!」

自身の体重に20キロ加わった状態での腕立て伏せ。これをふだんは100回行っているということです。

「このペースならまだ大丈夫。徐々に上げたらしんどいかも」

この訓練に元消防士・山岸さんは着いていけるのか?
まずは、防火服の着用です。

緊急出動の時は、1分以内で着なければならないそうですが・・・
体が覚えているのか、1分以内で着用できました。
「着装よし!」

山岸さんも加わって行うのが…
「階段ダッシュ行きまーす!」

10階建ての階段ダッシュ。これはなかなかキツそうです。
(山岸拓 気象予報士)
「1本目ー!」

元消防士のスイッチが入った山岸さん。
積極的な声かけで階段を上っていきますが、途中で一人の隊員の足どりが重くなります。
ランニングと腕立ての直後にこの階段ダッシュ。慣れている隊員でもこの疲労感。訓練の過酷さがわかります。

「1本やっただけで、息が上がっています」
暑熱順化の訓練では、訓練前後で体温を比べます。

山岸さんの訓練前の体温は36.1℃そして訓練が終わってからの体温は…
(山岸拓 気象予報士)
「39.6℃。体に熱がこもっている感覚はあるが、クラクラしてきた症状があるわけではない」

ちょっと心配になる体温ですが、暑熱順化訓練としては、問題ないということです。
と、ここで山岸さんが、かがんで何やら作業を・・・

「雲が広がっていますが・・・。」
本職の天気予報を終え訓練へ。
(山岸拓 気象予報士)
「ここからはより実践的な訓練に私も参加してきます。」

行われたのは、火事が起きた想定での訓練。立っているだけで汗が吹き出る防火服で、頭も体も使って、活動にあたらなければなりません。

(山岸拓 気象予報士)
「隊員が真後ろにいるのは、オレンジ色の要救助者が誤って足を滑らせてしまったときに守る役割もありますので、慎重に緊張感のある訓練。装備だけでも重くて熱がこもる中で、冷静な判断が現場では求められる」

暑さに慣れている消防士のみなさんが行っている暑熱順化訓練。ここまでハードな運動でなくても家庭でもできる暑さに慣れる方法があるといいます。
(高知市中央消防署 特別救助第三係 堀内浩史 係長)
「健康な方であれば少し厚着をして、無理のない程度で散歩するだけでも、体が強くなるので、3日に1回、週に1回の取り組みでも(暑熱順化は)可能」

(京面龍太郎アナウンサー)
「すごいですよね」

(松岡葵アナウンサー)
「山岸さんスイッチ入ってましたねかなり」
(山岸拓 気象予報士)
「私の持ち味をですね思う存分発揮できる取材だったということで、ついつい張り切ってしまいました」
(京面龍太郎アナウンサー)
「さすが6年間消防士がやってらっしゃったというだけあって、途中ねもう背中を階段からね後ろから押すという場面もありましたね」
(山岸拓 気象予報士)
「京面さん実はですね。訓練の途中から私参加させていただきましたので、訓練を最初からやっている隊員さんと一緒にですね最初から私もやっていれば、必ず私が背中を押されていただろうなということで改めて現場の消防士さんの体力すごいなと思いました」
(京面龍太郎アナウンサー)
「その現場の消防士がやってるこの暑さに体を慣れさせる訓練暑熱順化というものなんですが、ちょっとこちら説明していただけますか」
(山岸拓 気象予報士)
「改めて暑熱順化についてなんですが、暑熱順化とはですね夏本番の暑さが来る前に、体を暑さに慣れさせておきましょうというものなんです」

(山岸拓 気象予報士)
「暑熱順化ができていないときというのは、これ取材のときの私なんですが、汗を全くかかずして、体温ばっかり上がっていくんです。要するに体の中に熱がこもった状態こちらちっちゃくありますが体温が上昇しやすいですよね。始める前はですね」

(山岸拓 気象予報士)
「一方でこちら右側、暑熱順化ができてくると、体の外にしっかりと汗をかいて、体の中に熱がこもらないんです。ですので私39度までいきましたが、実際に現場の隊員さんの37度台で同じ運動していてもですね。あの7度台でとどまったというもの。こちらに移行し始めている隊員さんもいらっしゃいましたので、このように如実に結果の違いがわかったというね、取材結果となりました」

(京面龍太郎アナウンサー)
「この暑さに体を慣れさせる暑熱順化、どれぐらいで実際になれるもんなんですか」
(山岸拓 気象予報士)
「それはですね個人差もあるんですが、数日から2週間この体が順応するまでに要すると言われています」

(松岡葵アナウンサー)
「28日から始めて2週間後もまだ5月ということで、少し早いような気もするんですがどうでしょう」
(山岸拓 気象予報士)
「今ですね季節とは関係なく前倒しで基本、徐々に高くなってきています。こちらちょっと参考なんですが、暑熱順化を始めた方がいいタイミングというものがありまして、南の方から徐々に気温上がっていきますので、高知はですね、まさに5月の上旬、今週から5月始まりますのでまさにこのタイミングから暑さに慣らす体作りを始めていきましょうという一つの目安になっているのでこの時期からがおすすめかなというふうに思います」

(松岡葵アナウンサー)
「この暑熱順化ですけれども、消防士さんだけではなくて私達にも生かすことができるということで、何から始めたらいいでしょう」
(山岸拓 気象予報士)
「そうですね。暑さに強い消防士さんたちですらこのように準備期間を設けて暑さのトレーニングをしているわけですので、私達もできることたくさんあります。日常に潜んでいる暑熱順化をするための動き方や生活の仕方ということでですね。我々消防士さんたちよりも暑さに弱いですのでより取り組んで欲しいんですが、息が上がるほどの強度の強い運動をして欲しいというわけでは決してないんです。ウォーキングやジョギング、そして適度な運動、またサイクリングなどですね。個人の体、体力に合わせた強度で少しずつ水分補給もしながらですね。このように徐々に毎日コツコツと汗をかいていくということが暑熱順化ですので、ぜひ皆さん無理のない範囲で行っていただけたらなというふうに思います」
