ウクライナから避難してきた人たちを受け入れて半年が経ちます。日本での生活が長期化するなか、いま避難してきた人たちが望んでいることは何か?支援のあり方は?受け入れの調整などに尽力する夫婦の姿を追いました。

大分県別府市の別府翔青高校では、ウクライナから避難してきた3人をグローバルコミュニケーション科の「聴講生」として受け入れています。3人は数学や社会、芸術などの授業を選択。ほかの生徒たちと同じ教室で学んでいます。授業では翻訳アプリを活用する他、英語が堪能なソフィアさんを介してコミュニケーションを図っています。


(ウクライナ避難民・ソフィアさん)「ウクライナと日本は教え方にいろんな違いがあり、いい意味でおもしろい。生徒や先生はみんな優しく接してくれる」


(日本人生徒)「簡単な英語で『答えあってる?』ときいて一緒に答えを確認した」「ウクライナ語を教えてもらったり日本語を教えたりして楽しい」「たくさんコミュニケーションがとれたらいい」

学校では3人が日本語を学ぶクラスを特別に編成。日常で困っていることはないか、など相談にものっています。徐々に学校生活に慣れ始め、学習意欲だけでなく、友達と楽しみたい気持ちも高まっているようです。

(ウクライナ避難民・ミラーナさん)「午前中だけ授業を受けていつも帰るので友だちと一緒にランチを食べてみたい」


(ウクライナ避難民・ヴィクトリアさん)「家庭科で料理をやってみたいのと文化祭が気に入ったので参加したい」


大分県内では今年4月、ウクライナから避難してきた人たちの受け入れを開始。現在、別府市と日田市であわせて30人が生活しています。

NPO法人ビューティフルワールドを運営する小野ヤーナさん(40)と夫の一馬さん(36)。2人は受け入れや生活の支援にあたっています。共にAPUの卒業生で長崎県壱岐市で暮らしていましたが、今月20日、別府市へ移り住みました。

(NPO法人ビューティフルワールド・小野一馬さん)「ウクライナ避難民のそばにいないといけないだろうと。できれば毎日通って雑談をして細かいことでもいいので汲み取ることができる支援をしたい」


この日はヴィクトリアさん(38)のもとを訪ね、近況について話を聞きました。

(ウクライナ避難民ヴィクトリア・モイセーヴェッツさん)「大好きな2人が別府に来てくれてうれしい。ずっと待っていた」

2人がいま最も力を注いでいるのは「言葉」と「就労」の支援です。

ウクライナ出身のヤーナさんは週に2回オンライン講座を開き、日本語を習得する機会を提供。それでも、別府市内では就労を望む13人のうち4人の就職先が見つかっていません。ヤーナさんたちは言葉の壁を克服しながら就労に結び付けたいと考えています。

(NPO法人ビューティフルワールド・小野さん)「(言葉の壁で)問題がいろいろ出てくるから支援したい」「私たちも別府に来たのでもっと細かいニュアンスを聞き取りながら仕事のマッチングをしていきたい」

戦火を逃れて大分の地に来た人たちの多くが望んでいるのが、自立した暮らしです。そのためには行政にとどまらない幅広い面での継続的で丁寧なサポートが必要といえます。