3年前、神奈川県逗子市で在日アメリカ軍の兵士が通行人4人に体当たりするなどして重軽傷を負わせました。米兵にきょう、損害賠償を命じる判決が言い渡されましたが、判決を前に帰国してしまうなど様々な問題が浮かび上がっています。
怒号が飛び交う駅の改札。JNNが入手した映像に映る上半身裸の人物。警察官に取り囲まれています。
この人物は在日アメリカ海軍・横須賀基地に所属する2等兵曹(31)。2022年7月、神奈川県逗子市の路上で、通行人4人に次々と体当たりするなどして重軽傷を負わせ、逃走していました。
被害にあった女性
「車にはねられたことはないけど、それくらいの衝撃だった。『通り魔殺人未遂事件』だと今でも思っている」
被害者の1人の女性。背後から突き飛ばされ、顔から地面に突っ込むように倒れたため、眼底を骨折。両手の骨なども折れ、全治9か月の重傷を負いました。
被害にあった女性
「打ち所が悪かったら死んでいた」
米兵を追いかけた同僚の男性は…
米兵を追った男性
「追い付いた時に向こうが殴りかかってこようとして。転んでいる僕を(米兵が)上から見て襲いかかってくると思ったら、走り出して逃げた。瞳孔が開いていた」
米兵は最後に駅のホームで確保されましたが、直後の映像を見ると手錠をされていません。逮捕はされなかったのです。
警察署に任意同行されましたが、アルコールや薬物の検査を拒否して、タクシーで家に帰ったといいます。
日米地位協定では、起訴前の身柄引き渡しの判断は米軍の裁量に委ねられていますが、被害者側の弁護士は現行犯などで逮捕することは可能だったと話します。
女性ら被害者の代理人 呉東正彦 弁護士
「彼が米海軍の軍人だということが警察でわかって、そこで何らかの配慮をしてしまっている可能性もなくはない」
米兵はその後、在宅のまま傷害罪で起訴され、「アルコールの影響で心神喪失の状態だった」などと無罪を主張しました。
しかし、去年9月、懲役2年4か月・執行猶予4年の有罪判決が言い渡され、確定しました。
女性は今、後遺症と戦っています。
被害にあった女性
「グラスを受け取るときに、そのまま握っているつもりが、力が入っていなくて落ちる。指の先からこっち側が電気が走った感覚。いつ痺れが出るかわからない。それが1日に何回もある」
そして、きょう、女性ら被害者4人が米兵を相手に損害賠償を求めた民事裁判の判決が言い渡されました。横浜地裁は1600万円余りを支払うよう米兵に命じました。
被害にあった女性
「たくさんの方に色々と力になっていただいたことに感謝している。自分一人ではここまで来られなかった」
一方で、判決の直前、米兵が転勤を理由にアメリカに帰国していたことが発覚。賠償金が支払われなかった場合、財産を差し押さえることなどが難しくなりました。
女性ら被害者の代理人 呉東正彦 弁護士
「責任を果たすまでは米国に帰国させないでほしいと要請したが裏切られた」
被害者側は地位協定に基づき、米国政府に補償を請求する手続きも進めています。
米兵からの謝罪は今もされていないということです。
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