岩手県盛岡市で開催されたスポーツクライミングW杯盛岡大会の女子コンバインド決勝が22日に行われ、森秋彩(もり あい)(19・茨城県山岳連盟)が優勝、パリ五輪で開催される形式の大会で存在感を見せつけた。

今大会は、東京五輪で行われた「コンバインド」の形式とは違い、「ボルダリング」「リード」の2種目で、それぞれクリアの状況に応じて設定されたポイントの合計点で順位が決まる形式。予選、準決勝をともに1位で通過した森は、この日も絶好調。得意の「リード」だけでなく、前半に行われた「ボルダリング」でも圧巻の登りをみせた。

1課題目は、共に決勝に進出した東京五輪銀メダリストの野中生萌(25・無所属)も完登できなかった難しい課題を、4トライ目でクリアし、3位につける。2課題目、3課題目も、順調に完登すると、圧巻は4課題目。最終8人目、森の前に完登したのは、アメリカのナタリア・グロスマン(21)のみという難関の課題だったが、森はスタートすると、全くよどみなく登りはじめ、1回も落下することなくわずか1分14秒で「一撃」完登。グロスマンに続き、0.3ポイント差の2位でボルダリングを終えた。

この時点で、金メダル争いは、事実上、森とグロスマンの一騎打ちとなった。2種目目の「リード」に先に登場したのはグロスマン。ボルダリングの疲れからなのか、前半で時間を使いながらゆっくりとした登りとなる。体力を消耗しながらも、粘りのある登りをみせ、結局、最終ゾーンに入った直後の高度まで登り、72.1ポイントを獲得、森にプレッシャーを与える。

72.4ポイントを獲得しなければ金メダルが獲得できない状況の中、森は、スタート直後から圧巻の登りをみせる。圧倒的なスピードで危なげなく最終ゾーンまで到達、そして、完登まであと2手ほどというところで、落下。しかし、最終的に、リードで92.1ポイントを獲得し、合計で190.9ポイント、2位グロスマンに19.7ポイントの差をつけ圧勝した。
森は「自国開催で勝ててとても嬉しいです。(大会の形式については)ボルダリングとリードを両方やるのは、とてもハードに感じました」と英語で語った。

パリ五輪のフォーマットで開かれたW杯としては、今大会が初めて。来年スイスで、パリ五輪に向けた予選がスタートする中、試金石となるこの大会で、森が圧倒的な存在感を見せつけた形となった。

【女子コンバインド・決勝(総合得点)】               
1位 森秋彩         190.9
2位 ナタリア・グロスマン  171.2
3位 ソ・チェヒョン     131.8
4位 ブルック・ラバトゥ   126.0
5位 野中生萌        104.0
6位 谷井菜月         97.3
7位 伊藤ふたば        74.9
8位 ミア・クランプル     63.8