畑中建人選手が、復帰戦で1年8ヶ月ぶりの見事な勝利を収めた。2025年4月5日、スーパー・フライ級10回戦でウィルベルト・ベロンド選手(フィリピン)と対戦し、6回TKOで勝利を飾った。

苦難を乗り越えての復帰戦

「1ラウンドで倒されて焦った」と畑中選手。実際、試合開始早々にダウンを喫する苦しい展開となった。2ラウンド目には両者がダウンする激しい攻防が繰り広げられたが、畑中選手は持ち前の粘り強さを発揮。6ラウンド目、畑中選手の放ったボディブローが決まり、ベロンド選手をKOに追い込んだ。

「チームの体制が代わって、妻にもサポートしてもらって、今回は勝ちたかったので勝てて良かった」と、畑中選手は喜びを語った。

新たな挑戦への決意

今回の試合は、畑中選手にとって重要な意味を持っていた。昨年8月のプロ初黒星、そして12月に予定されていた再起戦の延期など、苦難の時期を乗り越えての復帰戦だったからだ。

「階級あげてコンディションもよかったので、この階級で実力をつけてチャンスをものにできるように頑張りたい」と、畑中選手は今後の抱負を語った。

父と共に世界を目指す

畑中選手の父であり、ジム会長の畑中清詞氏とともに、世界チャンピオンを目指す新たな挑戦が始まる。親子2代での世界チャンピオン獲得という夢に向けて、畑中選手の歩みが再び始まった。

課題と展望

世界4階級王者の田中恒成選手は、畑中選手の試合を次のように分析した。

「復帰戦、厳しい状況にありながらも最後KOで本当に良かった。けがを乗り越えるということでは大きな意味を持った」

一方で、「現実的にどんなところが悪かったのかを見極めながら次のステップに行ってもらいたい」と課題も指摘。「パワーのある相手に対してのディフェンスの仕方を改良して、攻めとの両立を目指してほしい」とアドバイスを送った。

その他の注目の試合

同日の大会では、他にも注目の試合が行われた。

- スーパー・バンタム級8回戦:長谷川 烈(KG大和) vs 武藤 涼太(松田)

武藤涼太選手が判定勝利

- フライ級8回戦:坂井 涼(畑中) vs 中山 祐太(一力)

坂井涼選手が4回TKO勝利

- スーパー・フライ級8回戦:ソン・ウェイ(中国) vs 犬塚 音也(松田)

犬塚音也選手が判定勝利

畑中建人選手の劇的な復活劇を中心に、熱戦が繰り広げられた今大会。日本ボクシング界の明るい未来を予感させる試合となった。