社会を震撼させたオウム真理教による「地下鉄サリン事件」から、きょうで30年です。「本当はこんな人生じゃなかったのに」。家族を奪われた遺族らが事件現場となった地下鉄の駅で犠牲者を追悼し、30年経った心境を語りました。

1995年3月20日に起きた無差別テロ、地下鉄サリン事件。オウム真理教の信者が、首都・東京を走る地下鉄の車内に猛毒のサリンをばらまき、14人が死亡、およそ6300人が被害に遭いました。

警視庁の当時の警察無線には、異常事態を知らせるやりとりが。

警視庁の音声記録
「新聞紙に包んだ液体、これが目の前に落ちた。その液体が溶け出し、ものすごい異臭がした」

事件が起きたのは、中央省庁などが集まる霞ケ関駅に向かう3つの路線。午前8時ごろの通勤ラッシュ時で混み合う5つの車両の中にサリンがまかれたのです。

前代未聞の事件から、きょうで30年…。事件があった時間にあわせて、霞ケ関駅では駅の職員らが黙とうを捧げました。

地下鉄職員の夫を亡くした高橋シズヱさん(78)は…

夫を亡くした高橋シズヱさん
「ここに来ると、当日のことを鮮明に思い出して悲しみがこみ上げてくる。本当はこんな人生じゃなかったのにと思うと、悔しい思いもあります。長い30年の一つの節目として、献花をさせていただきました」

妹を亡くした別の遺族は…

妹を亡くした浅川一雄さん
「妹も何もわからず電車に乗っていて、おそらく気分が悪くなって倒れたと思う。そのとき、すごく怖かったんだろうなと改めて思いました。(5年前)1人目の孫が生まれて、きょう、一緒に来た。そのことについて、やっぱり知ってほしい」

一方、オウム真理教をめぐっては、今も3つの後継団体が活動を続けています。3つの後継団体の構成員は、およそ1600人に上っています。

オウム真理教による一連の事件をめぐっては、2018年、教団の元幹部ら13人の死刑が執行されました。