岩手県大船渡市の山林火災は発生からきょうで6日目です。きょう、新たに火の手が集落に及んでいて、消火を妨げているものは何なのでしょうか?
記者
「綾里地区です。山のふもとや中腹では、炎が横に燃え広がっているのが確認できます」
大船渡市で発生した山林火災の午後2時半現在の焼失面積は、2100ヘクタールまで拡大しています。きょうも地上と空中から懸命の消火活動が続いていますが、鎮圧のめどは立っていません。消火を妨げている要因を専門家は次のように話します。
京都大学 防災研究所 峠嘉哉 特定准教授
「延焼速度が速かったことを踏まえますと、樹冠火が起こった可能性があるかなと。そういう可能性があるかなというふうに考えています」
日本の林野火災のほとんどは、地表の落ち葉などが燃え広がる「地表火」ですが、今回は、燃え上がった火が樹木の葉にまで達する「樹冠火」となり、延焼の速度が上昇した可能性があるといいます。さらに…
京都大学 防災研究所 峠嘉哉 特定准教授
「今回の植林された領域は、その針葉樹、杉や松みたいな樹種が多かったと聞いている」
杉や松は葉に油分が多く含まれていて、燃えるとより多くの熱を放出します。
また、山間部で発生した火災にはこんな事情も…
大船渡地区消防組合 小野田利文 消防次長
「地上隊が入れないということで消火が地上からは行えない。空中消火しか行えない」
特に、斜面で延焼が拡大すると消火が困難になるといいます。
けさ、自衛隊のヘリコプターが撮影した映像では、赤崎町の長崎地区から外口地区にまで火の手が及んでいるのが確認できました。さらなる住宅への被害とともに懸念されているのが、避難の長期化です。
避難した人
「ちょっとは寒くなったけど大丈夫です。何とか頑張って収まるのを待っています」
午後2時半現在で大船渡市内に出されている避難指示は、1896世帯4596人に及んでいて、実際におよそ1200人が避難しています。
また、影響はこんなところにも…
記者
「大船渡では、なじみの銘菓『かもめの玉子』にも火災の影響が及んでいます」
およそ70年の歴史がある、さいとう製菓の「かもめの玉子」。大船渡市の銘菓で、多いときには1日に40万個が製造されてきました。しかし、工場は火の手が迫っている赤崎町にあり、このまま延焼が広がると、製造が停止するおそれが出てきています。
さいとう製菓 平野亨 取締役販売本部長
「避難区域の指定になると、工場はすべて閉鎖、本社もすべて閉鎖になる」
また、火災の影響で250人いる従業員のうち13人が避難していて、直営の販売店は短縮営業を余儀なくされるなど影響が出始めています。
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