危険運転致死傷罪をめぐり、曖昧と指摘される適用条件を明確にするため、飲酒や速度について数値基準の導入が検討されています。こうした中、飲酒ひき逃げ事件で息子を亡くした遺族は期待の一方、不安の声をあげています。
検察官「お酒の量で危険運転を問うことはできない」
大分県国東市に住む佐藤悦子さん。この日、事件や事故で亡くなった人の等身大パネルを遺品とともに紹介する「生命のメッセージ展」の開催に向け、準備に取り組んでいました。

佐藤さんは、飲酒ひき逃げ事件で次男の隆陸(たかみち)さんを亡くした被害者遺族です。隆陸さんは2003年11月、鹿児島県で当時19歳の男が飲酒運転する車にはねられ、亡くなりました。24歳でした。男は現場から逃走し、アルコールが抜けるのを待って出頭。その結果、「危険運転致死罪」での立件は見送られました。
佐藤悦子さん:
「事件の時に検察官から『1合飲んでも酔っぱらう人がいるし、一升飲んでも平気な人もいる。だからお酒の量で危険運転を問うことはできない』と言われ、却下されたんです」
過失運転よりも、より刑が重い危険運転致死傷罪。大分県内で4年前に発生した194キロの事故をめぐり、大分地裁は去年、『危険運転』と判断しました。しかし適用の基準が曖昧で、この事故でも当初は過失で起訴されていました。

佐藤さんはその後、飲酒運転の撲滅や法の厳罰化を訴え、闘い続けてきました。そして21年が経った今、待ち望んでいた危険運転致死傷罪の見直しが動き始めました。
佐藤悦子さん:
「亡くならなくていい命が亡くなっている現状がたくさんある。今回の法改正でぜひ大切な命が守られるような法律を作ってほしい」