シリーズ「現場から、」「能登半島地震からまもなく1年」です。この地震では、富山県氷見市でも家屋の倒壊が激しく、自宅を失った高齢者らは今でも住むところが決まらず、不安な日々が続いています。

およそ20棟が公費解体され、更地が広がる富山県氷見市姿地区。あの日からまもなく1年。地区の4分の1にあたる15世帯が集落を離れ、人口の1割あまりが減少しました。

集落から10キロほど離れた市の中心部にある応急住宅に移り住んだ桑原桂子さん(89)。地震の2週間後から、息子とこの家に身を寄せています。

桑原桂子さん
「あんたたち幸せやね、家があって」

亡き夫が建てた思い出の自宅と倉庫は地震で倒壊し、4月に緊急解体されました。

桑原桂子さん
「さみしい。涙出た」

今住んでいる賃貸型の応急住宅は、入居日から2年まで市から家賃が補助されますが、それ以降は自己負担となります。息子も定年退職し、ともに年金暮らしで貯蓄も少なく、その先の見通しは立っていません。

市は2年後の秋を目指し、全半壊した被災者が入居できる「災害公営住宅」を市の中心部の2か所に建設することを決めました。しかし、桑原さん親子は…。

桑原さんの息子 敏夫さん
「やっぱりコミュニティがこちらですから。(Q.お母さんも高齢ですから、そのコミュニティに入っていくのは)難しいですね」

歳をとり、知り合いのいないところに住むのは難しく、「災害公営住宅」には入らない予定です。

桑原桂子さん
「私らお金ないし、家も買えないし、もうこの世に何年おられるか分からんもんね」

桑原さんの息子 敏夫さん
「不安ですね。この先、生活していけるのかどうか」

あの日からまもなく1年。久しぶりに桑原さんが自宅のあった姿地区に…。

桑原桂子さん
「ここ眺めに来た」

地震を引き金に、過疎化が急速に進む地方の集落。そこにはかつての景色、顔なじみだった住民たちの姿はありません。

桑原桂子さん
「寂しい。みんなおらんようになったら」

これが、地震で終の住処を奪われた地方の高齢者の現実です。

桑原桂子さん
「今度はどこ行けばいいかと思っても、やっぱりここにこなければいけないかと、行くところなければね」