からふるでは今週、2024年の出来事を振り返っています。19日のテーマは「猛暑」です。高知県内の1次産業にさまざまな影響を与えた2024年の暑さはなぜ起きたのか、私たちが備えておくべきことなど、東気象予報士の解説を交えお伝えします。

「とけそうです。今まで味わったことのない暑さ」

2024年、全国を襲った猛暑。みなさん、連日続く厳しい暑さに…。

「(暑くて)うんざりしています。しんどいなというか、疲れ溜まってきているなという感じは、暑さでありますね」
「堪えますよ本当に。もういいです。朝の時点でもう暑いってなんとなく分かってきました」
「もう汗が立っているだけでも吹き出てくる暑さですね」
「まとわりつくような暑さで本当にもう大変だなと思っています」

過去4年間で熱中症警戒アラートが発表された回数を比べると、2021年は8回、2022年は21回、2023年は16回でしたが、2024年は50回と、極端に多くなりました。

また、四万十市江川崎では最高気温が35℃以上になる猛暑日を、7月から9月にかけて50日観測しました。観測史上、最多の記録です。

このほか、四万十市中村では40日、本山町では35日、高知市では19日など、11地点で記録が更新されました。

この異例の暑さは、県内の1次産業にさまざまな影響を与えました。

こちらは宿毛湾で養殖された魚です。

ある養殖業者によると、お盆を前に、出荷予定だった魚を湾内の生け簀に移動させたところ、翌日、ほとんどが死んでいたといいます。最終的に、2500匹ほどが死に、被害額は1000万円弱に上ったということです。この時の海面近くの水温は平常時を上回る31℃ほどだったとみられます。

また、大小、70基の“いけす″でブリ・ハマチ・タイを養殖している『濵兆』も海水温の上昇が影響したとみられる被害が出ました。

(濵兆 濵田耕平 社長)
「持って帰っていた魚が死んだし、沖の深いところの魚も、下まで水温が高いので、死ぬといった感じですね。多いときは、1000くらいいったり」
(Q.かなり打撃ですよね)
「そうですね。水温だけはどうしようもないので、もう耐えるしかないですね」

宿毛湾漁協によりますと、海水温が高い状態は秋から冬にかけても続き、11月に入っても、高水温による病気やストレスで魚が死ぬことがあったといいます。さらに、異変があったのは、海だけではありません。

高知の秋の味覚として知られる、新高梨。猛暑などの影響で、2023年よりも糖度は高くなりましたが、表面の色が変わる「高温障害」になった梨が多く出たといいます。

(池澤農園 農家 池田和徳さん)
「今年はどうしようもない。戻らんからね。なんぼ雨が降っても戻らん」

暑さ対策として木に遮光ネットをかぶせたり、地面に水をまくなどして大事に育ててきましたが、カメムシの異常発生も相まって、収穫量の2割5分ほどしか出荷できなかったということです。

(池澤農園 農家 池田和徳さん)
「この木は頑張ってくれたがやけれど、頑張ったけれど、お天道様がこんなやったき、申し訳できん。来年、木も頑張るぞと多分言うてくれると思う。ほんで僕らが心を込めて、肥料やって剪定して来年に備えたいと思います」

南国高知で続いた猛暑。2024年だけの「異変」なのか、この異変に「順応」していく必要があるのか。東気象予報士が解説します。

(東 杜和 気象予報士)
改めて異常な暑さとなりましたが、その原因から説明します。7月の気圧配置を見ていきますと、日本の東には太平洋高気圧という夏の高気圧がありますが、この太平洋高気圧が西日本に向けて張り出してきていたんですね。ですので、この強い高気圧に覆われまして7月から暑い夏になりました。

(東 杜和 気象予報士)
ただですね、8月になっていくと、この太平洋高気圧は少ししぼんでくるんですが、今度は西側のチベット高気圧が強くなりました。

(東 杜和 気象予報士)
この高気圧も夏に成長する暑い高気圧で、このチベット高気圧に8月は覆われることで、7月8月とずっと暑くなったんですね。2024年の暑さが異常なものなのかどうか、来年はどうなるのかということなんですが、高知県の気候変動を見ていきます。

(東 杜和 気象予報士)
100年以上前から観測をし続けてきた気温ですが、年間の猛暑日日数は右肩上がり、どんどん増えていまして、2024年は19回ということで、グラフの外側まで伸びるような、そういった記録となりました。また熱帯夜ですね、昼だけでなく夜も暑い日が増えています。こちらはもっと極端にわかりやすいですね。熱帯夜はずっと増え続けていまして、2024年は61回、またしても異常な記録が発生しまして、この先ですね、今年ほどの暑さには来年ならないかもしれませんが、夏は暑いものだということになってきています。気候が変わってきているということですね。

(東 杜和 気象予報士)
右肩上がりで暑い日が増えていきますし、夜間も暑いということで、1日中暑い日が増えていますので、この暑さにどう順応していくかということが大切なのかなというふうに思います。