土地取引の目安となる地価調査の結果が公表され、富山県全体では、30年連続の下落となりました。50の地点で上昇した一方、下落は101地点。整備が進む駅周辺と中心市街地の商店街で地価の二極化がさらに鮮明になっています。

地価調査は、土地の取引価格の基準にするため、県が、毎年7月1日時点の価格を調べ、9月下旬に公表しています。

調査対象は、県内の住宅地や商業地など226地点で、地価の上昇は50地点、下落は101地点、横ばいは68地点となっています。

地価の変動率の県内平均は、0.2パーセントの下落で、前の年よりも下落率は縮小しましたが、30年連続のマイナスとなっています。

不動産鑑定士 竹田達矢さん:
「全体としてはすごく(地価の)ニ極化が進んでいまして、プラスに動いている地価が上がっている地域と下がっているがはっきり分かれて上がっている地域が少し地価を引っ張り上げている形になります」

県内全体としては地価の上昇地点は増えていますが、そのほとんどを富山市が占めています。

記者:
「県内で最も地価が上昇したのは富山駅北側の牛島町です。路面電車の南北接続などが好影響となっています」

富山市牛島町の地価は36万円で前の年より7.5%上昇。富山駅北側エリアで進む中規模ホールの建設、路面電車の南北接続とあわせてマルートの開業が押し上げの要因となっています。

不動産鑑定士 竹田達矢さん:
「駅の南北が名前の通り一体化することで駅の南側だけが駅周辺という形であったのが北側にまで広がってきているという感じになります」

富山駅周辺と同様に駅周辺の整備で利便性が向上し、30年ぶりに地価が上昇に転じたところがあります。

小矢部市の石動駅南側の泉町です。駅舎が整備され南北の行き来がしやすくなったことに加え、スーパーマーケットが新たにできるなどして4万2000円と1.2%上昇しました。

そうした中、再開発が進まずに暗い影を落としているところも顕著となっています。

県内で最も地価が下がったのはアーケードのある商店街、富山市中央通りです。地価は12万4000円と新たな出店もなく、5年連続で下落しました。

また、高岡市の中心部でもアーケードのある商店街、片原町が5万6000円と前年より2.6%下がり、こちらは29年連続で下落です。

不動産鑑定士 竹田達矢さん:
「アーケード商店街というのはなかなか今の時代ですね出店が難しいといいますか、そのなかでシャッター街のような状態になっていまして、なかの店舗も少し減っているというなかで、住宅への転用も難しいですね。とすると、なかなか買い手がつかないという状態にあります」

収束のメドが立たない新型コロナの影響について、今後の市場はどうなるのでしょうか。

不動産鑑定士 竹田達矢さん:
「全体としては(地価は)回復傾向にあるなかで、地価は上昇しているのが現実ですね。当然いまの状態、だいぶコロナも広まってはいるけれど人は出られる状態になってきているので、それを見越した出店なんかもこれから出てくるかと思います」