中国南部・広東省珠海市で発生した車の暴走事件は35人が死亡する大惨事となった。事件現場付近で取材をしていた私たちは「市民」を名乗る男性たちに取り囲まれた上、撮影した映像をすべて消去させられた。彼らのような謎の「市民たち」に、中国で取材をしているとしばしば出会う。

航空ショー取材のために訪れた珠海 その夜、事件は起きた

2024年11月11日。翌日から始まる中国最大規模の航空ショーを取材するため広東省珠海市を訪れていた私たちは、暴走事件の発生を知り、すぐさま現場に向かった。移動中、SNS上で拡散されている事件の動画をチェックする。車が人々をなぎ倒していく瞬間。地面に倒れこみ、ピクリとも動かない大勢の人々。

「また“無差別襲撃事件”が起きた…」。このところ上海のスーパーマーケットでの無差別切りつけ事件、北京市内の小学校前で5人が切りつけられた事件など、各地で無差別襲撃事件が相次いでいる。背景には社会への不満があるとの分析も出ていた。