衆院選の結果についてテレビ高知、今橋記者の解説でお伝えします。

(藤﨑美希 アナウンサー)
小選挙区はいずれも、自民党が勝利しました。まずはそれぞれの勝因と敗因について教えてください。


(今橋広海 記者)
中谷さんは防衛大臣の公務もあって高知には戻らず、本人不在の選挙戦だったということ。さらに、自民党の「政治とカネ」の問題について逆風がありましたが、11期務めてきた地盤は固く、中谷さんを支持する市町村長や地方議員らが総力戦で乗り切りました。

一方、武内さんは、「政権を取りに行く」と位置づけ、政治とカネの問題を厳しく追及するとともに、「政治が代われば暮らしが変わる」として、支持の拡大をはかりました。各地で政治への怒りを耳にし、これまで以上に声援を受けたといいます。ただ、中谷さんの地盤を崩し切ることはできませんでした。

(京面龍太郎 アナウンサー)
続いて高知2区、こちらも与野党一騎打ちの戦いでしたね。
(今橋広海 記者)
はい、尾﨑さんは政治とカネの問題を踏まえ、「政治改革」そして「自民党の中から自民党を変える」と強く訴えていました。「逆風が強く、直接、問題を指摘する声も受けた」と、昨夜、テレビ高知の番組出演時には話していまして、あせりはあったのだと思います。ただ、やはり知事時代と、国政1期目の2度の大臣政務官という実績などが評価され、大差での勝利となりました。

(今橋広海 記者)
新人の浜川さんは「知名度の低さ」を課題としていました。座談会形式の演説会で、県民の声を聞く機会を多く作って戦いました。「ミサイルより教育に予算を」と広く訴え、暮らしにまつわる政策をアピールしましたが、及びませんでした。

(藤﨑美希 アナウンサー)
続いて比例四国ブロックです。

(今橋広海 記者)
こちらが比例四国ブロックの結果です。定数は6議席で、自民党が3議席、公明党が1議席となっています。立憲民主党が1議席、国民民主党が1議席となりました。前回の2021年の結果とくらべて与野党の内訳は変わりませんが、自民党への「逆風」が自公連携にも大きく影響していて、前回、8時台の早い段階で当選が確実となった公明党の山崎さんは、日付が変わってからの当選確実となりました。
(京面龍太郎 アナウンサー)
そして、今回敗れた候補者の中には政界引退を示唆している人もいますよね。
(今橋広海 記者)
はい、中谷さんと同期当選の自民党、山本有二さんです。金融担当大臣や農林水産大臣を務めたこともある山本さんは、2017年の衆院選で比例復活、2021年は候補者調整で比例の順位1位として当選しましたが、今回の順位は10位でした。

(今橋広海 記者)
長年、高知の選挙の顔となっていましたが、山本さん自身は「おそらく政界からは身を引くこととなると思う」としています。
(藤﨑美希 アナウンサー)
そして気になっていたのが投票率です。県民の選挙への関心が現れる数字ですが・・・。

(京面龍太郎 アナウンサー)
全体で51.97%、前回を5.37ポイント下回りました。戦後3番目に低い数字です。高知1区は49.59%、高知2区は54.59%でした。

(今橋広海 記者)
投票率低下の要因として「短期決戦」があげられると思います。石破政権発足後、戦後最短となる急転直下の早期解散で、陣営側もバタバタの選挙戦となり、有権者からも「考える時間が短い」とか、「候補者の訴えをじっくりと聞けない」という声も聞かれました。

(今橋広海 記者)
加えて、もちろん大事なことなのですが、大きな争点の一つが「政治とカネ」となったことで、これまでも続いてきた政治への不信感、あきらめが、投票行動ではなく「投票に行かない」という形となって現れた面もあったかもしれません。
物価高対策などももちろん争点とはなりましたが、選挙への関心が高まりきらなかったのが現実だったようです。
(藤﨑美希 アナウンサー)
各政党のコメントです。

(自民党高知県連 明神 健夫 幹事長)
「政治とカネの問題の説明が十分でなく、結果を厳粛に受け止めている。政治改革、党の改革を行い、国民の信頼回復に努める」

(公明党高知県本部 西森 雅和 代表)
「1議席を死守できうれしく思う。全国的に厳しい結果で、クリーンな政治を続け、地方の声を国政に届けていく」

(立憲民主党高知県連 長尾 和明 幹事長)
「全国的には躍進をしたが高知では残念な結果。地方議員の拡大に向け積極的に活動していく」

(国民民主党高知県連 前田 強 副代表)
「与党への批判の声の受け皿となった。与野党問わず一定の距離を保ちながら、政策の実現にまい進する」

(日本共産党高知県委員会 春名 直章 委員長)
「自公を過半数割れに追い込んだのは、県民の皆さんの怒りの表れ、来年夏の参議院選挙の勝利に向け奮闘する決意だ」

(今橋広海 記者)
衆院選の全体の結果を見ると、465議席のうち与党が過半数の233議席を割りこみました。発端は政治とカネの問題だと思いますが、これまでの自公政権に国民が審判を下した形です。ただ、「政局に振り回された総選挙」という感は否めませんし、投票率を見る限り、今回も、政治への関心は低いままと言わざるをえません。
私自身も、一票が政治に与える緊張感を持つべきだと思いますし、政治家も、本当に日本の未来を豊かにしていくための政策論争を、今後の国会で繰り広げてもらいたいと願います。














