リニア工事をめぐる静岡県知事とJR東海社長のトップ会談が2年ぶりに実現しました。膠着状態が続く中で急きょ設定された会談でしたが、具体的な進展は何も見られませんでした。
<松木翼記者>
「JR東海の金子社長が県庁のエレベーターを降りました。2年ぶりに知事室へと入っていきます」
<静岡県 川勝平太知事>
「暑い中ようこそお越しいただきました」
<JR東海 金子慎社長>
「よろしくお願いします」
2年ぶりとなる川勝知事とJR東海・金子社長のトップ会談は、2年前とは違い、非公開で行われました。
実は、金子社長がこの会談を持ちかけたのは、わずか5日前。その前日には、川勝知事が持論である「『部分開業』の可能性を探るため」として神奈川県のリニア工事現場を視察していました。しかし、視察後の発言では…
<川勝平太知事>
「車両基地の問題は、これはきょう発見したのでショックでしたね。部分開業もそもそも、そこ(車両基地)ができない限り、絵に描いた餅になる」
神奈川県内に建設予定の車両基地の用地買収が進んでいないのを目の当たりにしたとして、神奈川ー山梨の「部分開業」はもちろん、2027年の開業も大幅に遅れるとの見解を示したのです。
すると翌日、JR東海の金子社長は知事の見解をすぐさま否定します。
<JR東海 金子慎社長>
「知事が他県の工事状況について特別な情報を持っているのか分からないが(車両基地の)土地の半分くらい取得している。用地を取得したところから工事を進めていく」
しかし、知事はこの問題をきっかけに批判の矛先をリニア建設促進期成同盟会に加盟する都府県の知事らにも向けました。
<川勝平太知事>
「この間の期成同盟会の臨時総会でも(どの知事も)『やってる、やってる』『全て順調にいっている』という話でした。それ(工事の遅れ)を知らないってことであれば大問題。知らせなかったとなれば…情報の秘匿ですね。『不都合な真実は言わない』ということはあってはならない」
これは、つまり「静岡以外でも工事が進んでいない所はあるのに、その情報が隠されている」という主張です。知事がこうした発言をする背景にあるのは…。
<JR東海 金子慎社長>
「2027年の開業は残念ながら静岡県の工事が着手できていないので難しい状況…」
「静岡のせいでリニア工事が遅れている」というイメージを払しょくするために動き出した川勝知事。金子社長はこうした知事の最近の動向を憂慮して急遽の会談を持ちかけたとみられます。1時間15分行なわれた会談の終了後、金子社長は…。
<JR東海 金子慎社長>
「いろいろな場所で部分開業ということについてご発言なさっていますので、私の方から部分開業は考えていないんだと、東京から名古屋、名古屋から大阪という東海道新幹線のバイパスを作ってこそ意味があるので、私たちの考えはそういうことなんだと」
金子社長は部分開業について否定的な見解を伝えたほか、静岡工区の着工の遅れがリニア開業の目途を立てられないことにつながっていると改めて伝えたといいます。
<JR東海 金子慎社長>
「全体の工程については難しい所から着手しているんだと。静岡工区の着工ができていないことがこの先の名古屋開業の目途がたっていないことになっている。水の問題、南アルプスの環境保全の問題、色々やらなくてはいけないことは重々承知している。それを一生懸命やるのでぜひ知事からも静岡工区の着手について、ご理解、ご協力をお願いしたいと」
一方、川勝知事は…。
<川勝平太知事>
「まず難しい所をやって、名古屋まで完成してから初めて意味があると繰り返されていたが、私は『できる所から(工事を)やった方がいいんじゃないか』と。『(甲府と橋本で部分開業をして)500キロの体験をしたいという人が出てくるんじゃないですかね』と伝えたら笑っておられました」
川勝知事は金子社長に、早期着工のために有識者会議や専門部会など必要な手順を踏んでいると改めて伝えたほか、トンネル工事で出る発生土処理について県の盛り土条例の全文を手渡して「現状の計画では非常に厳しい」と伝えたといいます。
また、川勝知事が「全量戻しとは言えない」と指摘する「田代ダム案」については…。
<川勝平太知事>
「我々は田代ダムの水がこっちに戻ってくるのは歓迎していると申し上げた」
2年ぶりではあったものの互いに従来の主張を繰り返して終わったトップ会談。事態の進展も雪解けも見られぬままです。
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