38年前、福井市で女子中学生が殺害された事件で、名古屋高裁金沢支部は服役した男性の再審=裁判のやり直しを認めました。裁判長は「捜査機関が供述を誘導した疑いが払拭できない」などと指摘しました。

女子中学生殺害から38年 再審決定 検察を厳しく批判

「再審開始の文字。裁判のやり直しが認められました」

事件から38年、前川彰司さん(59)は一貫して無実を訴えてきました。

前川彰司さん
「ほっとしてます。良かった。ただもう何回も言いますけれども、浮かれるわけにはいかないということは、自分で戒めたいと思います」

1986年に、中学3年の女子生徒が福井市の自宅で殺害された事件。電気コードで首を絞められた上、顔や首を50か所以上刺されていました。

事件から1年後に逮捕されたのが前川さんです。被害者と接点はなく、物的証拠もありませんでした。

1審は無罪でしたが、2審で有罪となり、最高裁で懲役7年が確定。前川さんは服役しました。

前川さんの弁護団 吉村悟弁護士(2011年)
「彼の有罪を支えているのは、当時暴力団員だったAと友人数人の供述だけ」

有罪の根拠とされたのは、「前川さんが犯人だ」というAの供述や、「事件後に血の付いた前川さんを見た」などという5人の供述です。この供述の信用性が、最大の争点でした。

「事件後に血の付いた前川さんを見た」と証言した人物B。今回行われた証人尋問では、「捜査側の求める証言をする見返りに、自分の事件を見逃してもらう闇取引をした」と説明しました。

Bは、当時覚醒剤の事件をかかえていたのです。

「前川さんを見た」と証言したB(2011年)
「あの時に、覚せい剤ちょっと扱ってて、(警察から)それを『見逃してやる』とかは言われましたけど」
「おかしいなと思ったんですけど。これは取引みたいな感じで思いましたね」

さらに、Bが「事件当日に見ていた」と話していたテレビ番組の場面についても、新たな事実が。

今回検察が開示した捜査報告書に、実際には事件当日に放送されていなかったことが記されていたのです。

山田耕司裁判長は、検察がこの事実を知りながら明らかにしてこなかったことを厳しく批判しました。

山田耕司裁判長
「検察官としてあるまじき、不誠実で罪深い不正と言わざるを得ない」

前川彰司さん
「警察や検察が無罪の証拠を隠しているから問題だと思う」
「まともな判断力が検察にあるのであれば、この事件は起訴すらおかしかったと」