シリーズ「現場から、」です。ビールの原料となるホップの生産量で全国1位を誇る岩手県では、収穫が最盛期を迎えています。しかし、春から夏にかけての長雨や燃料価格の高騰が暗い影を落としています。
青森との県境に近い岩手県軽米町の畑では、ビールの原料となるホップの収穫が最盛期を迎え、華やかな香りが辺りいっぱいに広がっています。50アールの畑には、高さ5.5メートルまで伸びたホップのカーテンが。
岩手県北ホップ農業協同組合 中里照夫組合長
「今年は8月21日に収穫が始まり、現在は早生品種を2種類(収穫が)終わりまして、普通のホップの収穫に入ったところです」
ホップの生産量で全国1位を誇る岩手県。そのうち県内2位の生産量の軽米町では、13件の農家が香りや大きさの異なる3種類のホップを生産しています。
春から夏にかけて涼しく、日照時間が長いため、ホップの生産に適した場所と言われています。しかし…
岩手県北ホップ農業協同組合 中里照夫組合長
「今年は梅雨入りしてからお盆過ぎまで、とにかく天気が悪くても、雨も非常に多かった。ホップ栽培を始めて44年ぐらい経つけど、これだけ雨の多い年は記憶にない」
長雨と日照不足の影響で一部のホップは病気になり変色。ホップ棚が倒れる被害も。町全体の生産量は、去年のおよそ38トンに対して2割ほど少なくなる見込みです。
農家を苦しめるのは、天候だけではありません。
ここはホップの加工場です。ビール工場に出荷するホップに葉や茎が混ざらないように機械で選別しています。選別を終えたホップは最後に乾燥させますが、熱風を送るボイラーの燃料は灯油です。世界的な原油価格の高騰で、ここにも影響が出ています。
さらに、畑に撒く肥料や農薬の値上げも追い打ちをかけ、全体の費用は去年より15から20パーセントほど、多くかかると見込まれています。農家が直面する生産量の減少と費用の増加。それでもホップの出来には自信を見せています。
岩手県北ホップ農業協同組合 中里照夫組合長
「(軽米のホップは)やはり香りが全然違います。とにかく台風にあわないで、最後まで収穫できればいいなと思っています」
収穫は9月上旬まで行われ、大手ビールメーカーの工場へ。逆風にも負けず育ったホップが使われたビールは、秋の味覚と共に消費者の喉を潤します。
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