立山町と氷見市が反対を表明していた2023年度の県立高校の募集定員についてです。富山県教育委員会は、当初の案の通り、雄山や氷見など5つの高校の普通科を1学級ずつ減らすことを決定しました。

30日開かれた県教育委員会の定例会。地元高校の学級数削減を通知されている立山町の舟橋貴之(ふなはし・たかゆき)町長と氷見市の林正之(はやし・まさゆき)市長が出席する異例の開催となりました。

富山県教育委員会 荻布佳子教育長:
「それでは、議案第20号、令和5年度県立高校の募集定員について事務局から説明をお願いします」

県教委から示されたのは、雄山、氷見、富山、富山中部、高岡の5つの高校の普通科を1学級ずつを削減して、全体で定員を190人減らす案です。

2023年3月の中学校の卒業予定者数8751人で、2022年3月に比べて159人減少するため、県教委は学区ごとの地域バランスなどを「総合的に判断」したとしています。

これまでも雄山高校のある立山町と氷見高校のある氷見市は、県教委に対して削減反対を表明してきましたが、30日、最終決定を前にそれぞれ持ち時間で5分で教育委員に対し陳情しました。

氷見市 林正之 市長:
「なぜ氷見高校なのかの理由が明確ではありませんので、教育委員のみなさまには子どもたちを含め誰が見ても納得いくような客観的データに基づく丁寧な議論をしていただきたい」

中学校の卒業予定者数について、県教委が2018年度からを基準としたことに対し、林市長は、2017年度を基準にすると減少数は射水市と変わらないのに、なぜ氷見高校なのかなどと反論しました。

氷見市 林正之 市長:
「どうもうがった見方をすると、自分たちの議論がうまくいくような数字のとり方をしているのではないか。過去に氷見高校が有磯高校と統合したそういう努力をないがしろにするものでありまして、今後、更に人口減少が続きますので、小手先ではなく、本格的な学校統合の話を議論をすべきではないでしょうか」

続いて、立山町の舟橋町長は。

雄山高校は、県教委の案通りだと普通科が2学級となり、もう1学級は女子生徒が多い生活文化科のため、男子生徒の大幅な減少につながると訴えました。

立山町 舟橋貴之 町長:
「野球、サッカーのチームは作れなくなります。バスケだって5人で試合はやれません。それでは中学男子の多くは雄山高校を進路希望先としては選ばなくなってしまうのではないか。私は普通科を2学級にされた…(時間切れのベル)」

時間切れとなる中、最後に訴えたのは。

立山町 舟橋貴之 町長:
「なるべく早いうちに統廃合の議論を進めていただきたい。小手先の、今年はこっち子ども増えたから来年はこっち増やそうとかあっち減らそうとか、振り回されるの子どもたちですから」

富山、富山中部、高岡の普通科1学級の削減に対して、教育委員からは「妥当」との意見が上がる一方、雄山、氷見については。

県教育委員会 村上美也子 委員:
「当該地域の子どもたちの減少がどうしても影響する因子と考えています。やむを得ないことではないか」

県教育委員会 坪池宏 委員:
「市外流出が加速するんでないか、部活動の制約など、自治体としての願いもよくわかっているつもりです。しかし、これだけ中卒者が減っていく状況、今後もさらに減っていく状況を考えるとやむを得ないのかなと」

委員1人が欠席のため、4人による採決では。

富山県教育委員会 荻布佳子教育長:
「原案通り可決することにご異議ございませんでしょうか」「ご異議ございませんので、原案通り可決することといたします」

この日の定例会を受けて、荻布教育長は、前回の県立高校の再編統合は2026年度までの少子化を見据えたもので、それ以降の生徒数の減少に向けて再編統合の議論を進めていく方針を示しました。

決定に対して、立山町の舟橋町長と氷見市の林市長は。

氷見市 林正之 市長:
「とても残念な気持ちでいっぱいであります。県のデータをうのみにして本当に丁寧な議論をしたのかな、ということについて私は疑問が残る」

立山町 舟橋貴之 町長:
「本当に丁寧な検討をされたのか、はじめから結論ありきだったのではないかと。再編どころか廃校しろという方向に持っていっているようにしか見えない、今回のやり方であろうと思います」

県立高校の募集定員は例年7月に発表されていますが、ことしは8月末までもつれたことになります。

富山県教育委員会 荻布佳子教育長:
「本当はできるだけ早くお示ししたい考えでありましたけど、関係者の皆様には申し訳なかった。来年についても同じようなことにならないように十分心に留めながらやっていきたい」

2023年度の募集定員についてです。全日制過程は、前の年度から190人減って6188人となります。雄山、氷見、富山、富山中部、高岡の普通科で1学級(40人)ずつ削減し、雄山の生活文化科は10人の定員増となります。