あすから、ASEAN関連の外相会議が開かれるラオス。この国でも、高速鉄道を建設し、影響力を強めているのが「中国」です。中国化する現地を取材しました。
記者
「こちらがラオスへと向かう高速鉄道です。緑色の車体に赤と黄色のラインが入っていて特徴的です。中は、中国の典型的な高速鉄道という感じです」
中国・雲南省とラオスの首都・ビエンチャンの間、およそ1000キロを10時間ほどで結ぶ「中国ラオス鉄道」です。中国が推し進める巨大経済圏構想「一帯一路」の目玉プロジェクトで、2年半前に開通しました。乗客の多くは中国人観光客です。
中国人観光客
「鉄道が開通してからは本当に遊びに行きやすいよ」
「鉄道ができたので、ラオスを旅行先に選びました」
車内の表示は、ラオス語より中国語が大きく書かれています。乗客数は開通以来、2400万人を突破したといいます。
記者
「ラオス側の最初の駅に到着しました。ラオスの駅では、待合室があってその隣に改札口があり、時間になるまで入ることができないというこのシステムは、中国とよく似ています」
鉄道は沿線の街にも大きな変化をもたらしていました。
ラオス側の国境の街「ボーテン」では、100メートルを超えるオフィスビルやホテルが林立していました。
ボーテン市民
「ここの建物は全て中国企業が建てたものだよ。この街に住むラオス人は少なくて、8割は中国人だよ」
街には中国人が経営する中華料理店や雑貨店があふれ、人民元が流通。“ほぼ中国”のような街ですが、ラオスの人たちは以前の暮らしより良くなったと歓迎します。
ボーテン市民
「ボーテンの人たちは、中国にもちろん感謝しているよ。前より生活は良くなったんだよ。前は農業くらいしかなくて、商売なんてできなかった」
さらに、高速鉄道に乗って1時間ほど移動した先の世界遺産の街・ルアンパバーン。街を一望できる丘にのぼってみると、多くの観光客のほとんどが中国人です。
中国人観光客
「とても綺麗で、また来たいです」
一方、「中国ラオス鉄道」をめぐっては、建設にあたっての費用の7割が中国からの貸し付けによって賄われています。そのため、巨額の資金が返済できなくなり、中国にインフラを奪われる「債務の罠」に陥ることが懸念されています。
中国はこの鉄道をタイ、マレーシア、シンガポールまで接続させる計画を進めていて、東南アジアでの中国の存在感は今後、ますます大きくなりそうです。
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