寄生するカイアシ類を殺し、イカには影響を与えない駆除方法を発見
研究チームはこの課題を解決するため、魚の養殖や食品加工などに使われる「過酢酸」に着目し、様々な溶液をテスト。そしてこのほど、「2分以内に寄生虫を100%殺し、頭足類(イカ・タコなど)やその子孫には全く影響を与えないもの」を見つけた。
次亜塩素酸やホウ酸など環境負荷が大きい処理剤とは異なり、完全に生分解されるという。

成果を挙げたOIST・物理生物学ユニットのズデェニク・ライブネル博士は、「病気の管理は飼育で最も重要な側面です。イカの健康に対する深刻な脅威を取り除くことができたことを嬉しく思います」とコメントした。
協力した地元漁協も研究発展に期待
施設を提供するなど研究に協力した恩納村漁協によると、沖縄近海でとれるアオリイカ類も資源の減少を実感しているという。
▽恩納村漁協関係者
「沖縄近海のアオリイカには通称クワイカ、アカイカ、シロイカと3種類いるが、確実に減ってきている。陸上養殖ができるのであればこれらのイカをとる県の水産業全体としてもプラスではないか」「コスト面などまだ課題はあるはずだが、技術の研究が進むことに期待したい」
研究チームでは現在、この溶液に関する特許を出願中で、この駆除方法が様々な頭足類・様々な寄生虫に対して有効であることを示したいとしている。