二宮和也主演で6年ぶりに日曜劇場に帰還する『ブラックペアン シーズン2』。シーズン1に引き続き、医学監修を務めるのは山岸俊介氏だ。前作で好評を博したのが、ドラマにまつわる様々な疑問に答える人気コーナー「片っ端から、教えてやるよ。」。シーズン2の放送を記念し、山岸氏の解説を改めてお伝えしていきたい。今回はシーズン1で放送された3話の医学的解説についてお届けする。

※登場人物の表記やストーリーの概略、医療背景についてはシーズン1当時のものです。

(特発性)肥大型心筋症

心臓には4つの部屋があり、それぞれの壁は筋肉でできています。(特発性)肥大型心筋症とは、その筋肉(特に左心室の筋肉)が分厚くなってしまう病気です。

心臓の筋肉が分厚くなることを肥大といい、薄くなって伸びてしまうことを拡大といいます。たとえば左心室の出口の血管の圧力が高かったり(高血圧)、左心室の出口が狭まってしまう(大動脈弁狭窄症)と、左心室は血液を出すために頑張ります。

筋肉が頑張る=筋トレですので、筋肉は分厚く肥厚してしまいます。肥大型心筋症はこのような高血圧や大動脈弁狭窄症のような原因がないのに、心臓の筋肉が肥大してしまう病気なのです。

じゃあ何が原因かって、特発性という言葉は原因が分からないという意味ですので、原因はわかりません。しかし約半数以上に遺伝的な要因があると言われています。特に心臓の筋肉が頑張る要素がないのに、筋トレしたように筋肉が分厚くなってしまう病気なのです。

いろいろなタイプがあるのですが、田村さんの場合は左心室の中がジャングルのようになってしまい、狭くなってしまう閉塞性肥大型心筋症(へいそくせいひだいがたしんきんしょう)だと思われます。

閉塞性とは筋肉の壁が分厚すぎて内腔(血液が入る場所)が閉じて塞がっちゃうくらい狭いという意味です。重症になると、胸痛、呼吸困難、動悸、失神などの症状が出るようです。またスポーツ選手の突然死の原因ともいわれています。聴診、心電図、心エコー等で異常がみられます。