2022年4月に起きた知床沖の観光船沈没事故をめぐって、乗客家族らが運航会社とその社長を相手取り、3日札幌地裁に提訴しました。

 訴えをおこしたのは、知床観光船沈没事故の乗客24人のうちの、14人の家族らあわせて29人です。
 乗客家族らは、運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長(61)に対しておよそ15億円の損害賠償を求めています。
 2022年4月、知床沖で観光船「KAZU1(カズワン)」が沈没した事故では、乗客乗員20人が死亡し、6人がいまも行方不明となっています。

海底から引き揚げられた「KAZU1」(2022年5月 北海道知床沖)

 去年9月公表された国の運輸安全委員会の報告書などによりますと、甲板のハッチが密閉されていなかったために海水が入り沈没したとしたみられています。

密閉されていなかった甲板のハッチ部分

 訴状などによりますと、乗客家族らは安全統括管理者及び運行管理者の桂田社長は、安全管理規程に定められたルールをことごとく軽視・無視してきたことが事故の原因だと主張。

札幌地裁に提訴した弁護団(3日午前10時すぎ 札幌地裁)

 そして、事故当日、甲板のハッチのふたが閉まらない不具合を放置し、出航を中止すべき悪天候の中においても、船を出航させる判断をしたのは注意義務違反にあたるとしています。

原告弁護団の山田廣弁護士

 訴状提出後の報道陣の囲みで、原告弁護団の山田廣(やまだ・ひろし)弁護士は「亡くなられた被害者の無念の思いとか、ご家族の悲しみや苦しみ、怒りを裁判で訴えていく。ご家族の心は事件があってから止まっている」とコメントしました。