岸田総理は10月以降も輸入小麦の価格を据え置くよう指示しましたが、ベーカリーからは「焼け石に水」の声が。相次ぐ物価高で家計負担は前年度+8万円の試算も…。

■「焼石に水の状態」小麦価格据え置きに街のベーカリーは…

あんぱん税込み140円。ツナマヨコーンパン税込み159円。商品の8割が100円台という安さと味がウリのベーカリーですが、今、岐路に立たされています。


コミネベーカリー 小嶺 忠 オーナー
「小麦の価格は、去年の今頃と比べると1.5倍ぐらい

Q.パンの価格はどうされているんですか

コミネベーカリー 小嶺 忠 オーナー
「今年の4月から15%ぐらい値上げしました」


輸入小麦は政府が製粉会社に売っていますが値上がりが続き、次回10月の価格改定でも2割ほど値上げが見込まれていました。

岸田総理は10月以降の売り渡し価格据え置きを指示しましたが、問題は「パンの材料は小麦だけではない」という事です。

山本恵里伽キャスター
「小麦の値上がりは叫ばれ続けていますが、パンに使用されているバターや砂糖、ナッツ、フルーツなども値上がりしているといいます」


例えば「くるみブレッド」は、1年前よりフルーツとナッツと砂糖の仕入れ値は3割上がり、バターは2倍に上がりました。

コミネベーカリー 小嶺 忠 オーナー
「他の主原料が上がっちゃってますから、(小麦据え置きは)焼け石に水。政府に『小麦の価格据え置き』と言われちゃうと、(パンの値段を)上げたくても上げられない、上げづらいですよね」

■「日本経済の回復は周回遅れ」GDP回復も物価高全体の家計負担は“約8万円増”に?


一方、家計にとっては今回の小麦価格の維持によって2022年度後半の負担は1世帯当たり2230円減ると、みずほリサーチ&テクノロジーズは試算します。

ただ、物価高全体での家計負担は前の年度よりおよそ8万円増えるということです。

みずほリサーチ&テクノロジーズ 酒井才介 主席エコノミスト
「8万円負担増が増えてしまうということになりますので、我々消費者としても何かしらの工夫といった努力が求められる状況」

街で聞いてみると…

女性
「毎日食べる食パンにしても、乳製品にしてもいろいろが。お野菜でも高いですよね」


Q.今回、小麦は据え置かれたが?

女性
「安心ではないですね、これからまた変動があるだろうし、それがどうなっていくかちゃんと見ていかないといけないなって」


一方、15日に発表された4月から6月のGDP=国内総生産は年率換算で2.2%の増加となりました。

2年半かけてようやくコロナ前の水準まで戻ってきましたが…


みずほリサーチ&テクノロジーズ 酒井才介 主席エコノミスト
「海外と比べて日本経済の回復というのは周回遅れ

今後、第7波の感染状況の改善が個人消費のカギを握ると話します。

みずほリサーチ&テクノロジーズ 酒井才介 主席エコノミスト
「政府も9月、あるいは10月以降『全国旅行支援』というものを実施するということも視野に入ってきますので、我々消費者としてもそういった消費を楽しむというフェーズにも入っていくんだろうと思う」