■クマ鈴は複数個付ける 襲われた際は頭部を守る

野生動物の生態を研究する福島大学の望月准教授はこう指摘します。

福島大学 望月准教授(専門:野生動物の生態研究)



福島大学食農学類 望月翔太准教授
「近年は人里近くで生活しているクマが増えてきているので人の生活音に慣れているクマが徐々に増えてきているのではないか。近づいたときに人だと気づきクマの方もびっくりして手をあげてしまって死亡事故につながる。」

またクマの目撃件数が去年に比べ増えている原因を望月准教授はこのように分析しています。

望月准教授
「昨年から今年にかけてクマがしっかり子どもを産めた。それによって目撃数が増えたと考えられる。」

県内では去年、ブナやミズナラの実が豊作で栄養を蓄えたメスのクマは体調が良くなり出産ラッシュを迎えたといいます。では実際にクマと遭遇してしまった場合どのように対応すれば良いのでしょうか?

望月准教授
「とっさに逃げようとしてもクマの足は速いので、その場でうずくまって頭をしっかり守ってください。クマの一掻きが人間にとっては致命傷になってしまう可能性があるので頭に傷をつけないようにとにかく頭を守るということだけ覚えてほしい。」

クマに襲われた際はうづくまり頭部を守る



クマによる人的被害は今年が特別多いというわけではありません。

しかし望月准教授は「クマと遭遇するリスクが高まっていること」を改めて認識してほしいと警鐘を鳴らします。

望月准教授
「人的被害が3件と言う数字をただ偶然重なっただけだと捉えるのではなく、かなりクマが人里近くで生活している可能性がある。どこでも人身被害が起きる可能性があると捉えることができる。これまでクマが出なかった地域でもしっかり気にして生活する必要があると思う。」

【井上アナ解説】
音に慣れてしまっているクマが増えてきているというのは正直驚きました。
それだけクマが人里に近づいているということですよね。ただしクマ鈴やラジオが全く意味がないというわけではありません。望月准教授は「クマ鈴は1つではなく複数つける」ことを勧めています。複数付けることで人が一人ではなく複数人いるとクマが錯覚するのでより遭遇するリスクを下げられるということでした。

また女性や高齢者の方はクマと体格差があるので、瞬時に頭部を守る対応は難しいと思います。そのような場合はこういったグッズも有効です。

こちらは市販の「クマよけスプレー」です。

スプレーの成分には唐辛子の辛み成分である「カプサイシン」が含まれているのでクマの顔にかけると嫌がって逃げていくということです。スプレーであれば力は必要ないので簡単にクマを追い払うことができそうですね。持っておくだけで安心にもなりますよね。

そしてクマを人里に引き寄せないことも重要です。


望月准教授はクマの隠れ家となりそうなやぶの除去。庭先のカキやクリは放置しないで早めに取ること。家庭の生ごみを外に放置しない。こういったことがクマを引き寄せないために必要だと呼びかけています。

クマの被害にあわないための対策をとりながらこれまで以上に動物と共生できる社会を築いていくことが今求められていると思います。