■第108回日本陸上競技選手権大会 男子10000m(3日、静岡・小笠山総合運動公園静岡スタジアム)

陸上の日本選手権男子10000mが行われ、日本記録保持者の塩尻和也(27、富士通)は、パリ五輪参加標準記録を突破せず、今大会での内定とはならなかった。優勝したのは、葛西潤(23、旭化成)で27分17秒46をマークした。

参加標準記録の27分00秒00を突破し優勝すればパリ五輪代表に内定する今大会。序盤は、ペースメーカーを先頭に集団が縦一列になって進んだ。日本記録保持者の塩尻和也(27、富士通)、昨年の日本選手権2位の太田智樹(26、トヨタ自動車)、前日本記録保持者の相澤晃(26、旭化成)は、中ほどで様子を伺う展開となった。

1周を66秒で回り3000mは8分13秒と、参加標準記録より7秒遅れての通過となった。4000m付近で太田が先頭の後ろにつくと、塩尻も6番手で追いかける。しかし6000m通過時点で、参加標準記録より16秒遅れる厳しいレースとなった。その直後、塩尻が足をひっかけ躓くアクシデント。すぐに体勢を立て直したが、太田らの先頭集団と少し差が開いてしまう。

7000mを通過して先頭は太田、相澤ら6人になり、塩尻は大きく遅れ第2集団に吸い込まれてしまう。9000mを過ぎると、葛西が仕掛ける。前田和摩(19、東農大)もついていくが、太田は遅れてしまう。ラスト1周、葛西はさらにペースを上げて自己ベストを19秒以上更新する27分17秒46で優勝。パリ五輪参加標準記録には届かなかった。3位に入った前田が27分21秒52でジュニア新記録となった。

レース後、塩尻は「前回優勝して注目してもらっていた中でのレースだったんですけども、悔しいですし、申し訳ないです」と厳しい表情を見せた。

優勝した葛西は「勝負で勝つことを一番の目標にしてたので、その中で勝つこともできて、タイムもついてきたので、いいレースができたのかなと思います」と振り返った。

【男子10000m結果】※PB(自己ベスト)NJR(ジュニア記録)
優勝:葛西潤 27分17秒46 PB
2位:太田智樹 27分20秒94
3位:前田和摩 27分21秒52 NJR
4位:鈴木芽吹 27分26秒67  PB
5位:相澤晃 27分34秒53