働き、学ぶ喜び 「もっと勉強したい」

城間さん
「漢字書くのは難しい。ひらがなは少し覚えてきた。先生も「うまくなってきてるよ」と言ってくれる。(ページを)めくったら楽しいよ」

珊瑚舎スコーレ夜間中学では、貧しさで学校へ行けなかった人が再び経済的な理由で学びを諦めることがないよう、授業料は無料です。公立の夜間中学校がない沖縄で、寄付やボランティア講師の協力によって、「自主夜間中学」として20年にわたって学びの場を提供してきました。
珊瑚舎スコーレは2022年、正式な中学卒業資格が認められる私立の夜間中学として認可するよう県に申請しましたが、県は当初、運動場などの面積が設置基準を満たしていない、として認可しませんでした。

珊瑚舎スコーレ・星野人史校長
「基本的人権の一つである「学ぶ権利」をあきらめてしまった方々がいらっしゃいます。そういう方に対しては迅速にやって(開校を認可して)いただきたい」
星野校長らは、全国から集まった2万人以上の署名を提出するなどして設置を働きかけました。そして去年あらためて申請した結果、県は中学校設置基準の運用を見直すことにして、設置を認可。全国初となる私立の夜間中学校が誕生しました。

珊瑚舎スコーレ東表中学校・星野人史校長
「これでスタート地点に立ったという感じです。義務教育未修了者の学び場を増やしていかないといけないと思っている」
各地の夜間中学でボランティア講師を務める元文部科学省事務次官の前川喜平さん。全国初となる私立夜間中学の誕生は、公立夜間中学の設置が求められている自治体にとっても参考になると話します。
元文部科学事務次官・前川喜平さん
「昼間の中学校を夜に平行移動すればいいだろうと、誤解している関係者もいると思うのですが、単なる中学校ではないのだということですよね。夜間中学というのは、たまたま中学校という形式はとっていますけども、単に中学校教育を提供するだけの場ではなくて、日本語学習とか、ひらがなカタカナから学ぶ識字学習とか、そういう基礎教育を提供する場なんです。沖縄県ではまだ公立夜間中学は開設されていないわけですから、県内にどのような形で公立夜間中学を作るかということについても、この東表中学校が1つの大きな参考になるだろうと思いますね」
珊瑚舎スコーレ東表中学校・星野人史校長
「(Q.夜間中学校は何のために必要?)人間のためですよ。学びはやはり喜びだから。夜間中学校はそのことがよくわかる。学びの原点のようなもの、「学校で学ぶ」ってことの原点のようなものがある。だからそういう場をこれから作っていかなくちゃいけないですよね」
城間清廣さん
「もっと勉強やらないといけない。勉強」

新たに開校した「珊瑚舎スコーレ東表中学校」では、義務教育を終えていない人や学び直しを希望する人を対象に生徒を募集しています。授業料無料を支える寄付などについて知りたい方は、珊瑚舎スコーレのホームページをご覧ください。
【検索:珊瑚舎スコーレ】