◆映画『福田村事件』でも描かれた虐殺
「去年9月1日の取材」というのは、関東大震災から100年が経った2023年9月1日、東京都での取材です。100年前に植民地支配下に置かれていた朝鮮人が日本にもたくさんいて、虐げられている彼らが震災の直後に立ち上がるのではないか、攻撃してくるのではないかと恐怖感を抱いた人たちが暴走して、あちこちで数千人が殺されてしまった事件です。日本史上の最大汚点と言ってもよいです。
臼井さんが見たという映画『福田村事件』(森達也監督)は、2023年9月1日公開です。朝鮮人だと思って攻撃しようとした相手は、実は日本人。方言で言葉がちょっと違い、殺されてしまった人たちがいたという史実をベースにした映画です。
※神戸解説委員長も2023年9月12日に、この番組で紹介している。
関東大震災後の“日本人虐殺”を描いた映画『福田村事件』の衝撃
https://news.radiko.jp/article/station/RKB/95162/
多くの人が目撃しているのに、「そんなことを日本人がするわけないじゃないか」と思い込んでいる人たちがいます。「虐殺なんてなかった」というのは完全にデタラメなのですが。
◆映画『リリアンの揺りかご』から

朝鮮人追悼式典があった9月1日当日に、「日本女性の会 そよ風」という団体が集会を開きました。東京都の小池百合子都知事が集会を許可しているので、混乱が広がっているのです。現場の取材で、虐殺の歴史を掘り起こしてきたノンフィクション作家、加藤直樹さんと会いました。映画『リリアンの揺りかご』から、少しお聴きください。
加藤直樹さん:今回彼らは、心にも思っていない「朝鮮人の追悼」と言い出したわけですよね。これは、最悪の冒涜だと思います。例えば、ベルリンでネオナチがホロコースト犠牲者の追悼碑の前で「ユダヤ人の追悼を行います」という風に言い出したらベルリン市が認めるか、ということですよね。
神戸:小池百合子都知事の責任は大きいですね。
加藤:大きいです……それは、本当に大きい。

ナレーション:虐殺された人数は正確にはわかりません。加害者が正式に起訴された事件で、殺された朝鮮人の数は233人にとどまっています。
そよ風の声:ご先祖の名誉を守るための行進を開始します。
神戸のナレーション:「そよ風」が言う、“真実の慰霊祭”。朝鮮人の犠牲者は233人だけであり、その人たちは日本に対する暴動を起こしたので正当防衛ではあるが、慰霊はしよう、というのです。
抗議する人々の声:レイシスト帰れ!
神戸のナレーション:いろいろな意見があれば、それぞれをきちんと報じる「中立報道」が、報道機関の原則です。しかし、事実と、歴史修正主義によるデマを、同等に扱うことは、むしろ職業倫理に反すると、私は考えています。
そよかぜに質問する記者:関東大震災では何があったと?
そよかぜの男性:こういう暴動が起きたんだよね。
神戸:「6000人が多すぎる」という意見があるのは分かりるんですけど、230人というのは少なすぎませんか?
そよかぜの女性:あの災害だったら、どんだけでも亡くなっているでしょ。日本人だって何万人も死んでいるし。
神戸:虐殺された人が…。
女性:虐殺してませんて。
男性:俺が調べたのでは、ないけどね。
女性:「そんな事実ない」と聞いてますよ、日本人側としてはね。
「そんな事実ない」と言っていますが、日本人の目撃者もいっぱいいます。認めたくない気持ちは僕も同じですが、実際に起きてしまった事実は踏まえていかないといけません。「忘却は再び虐殺を引き起こす」という発言も現場でありました。














