映画を観た後、劇場で買い求めるパンフレット。読むのは楽しいが、値段はそれなりにする。「忘れてしまった映画の中身や当時の思いを復元できるパンフレットには“タイムカプセル”の価値がある」と語るのは、映画好きを自認するRKB毎日放送の神戸金史解説委員長だ。今年のアカデミー賞が発表された翌日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Groooow Up』で語った。
◆「え、パンフレットが1,500円!?」

スタジオに、映画のパンフレットをいろいろ持ってきました。『ドライブ・マイ・カー』、『ゴジラ-1.0』など自宅にあるものの一部です。映画を観終えて、気になった作品のものは買うようにしているんですが、高いですよね…。安くて800円、ある時「パンフください」と言ったら「1,500円」と言われ、びっくりしたけれど、今さら「買わない」とは言えないので買いました。
とくに観終わって「これ、どういうことかな…」「もうちょっと詳しく知りたいな」と思うと、パンフレットを買ってしまいます。「もっと知りたいから」というのが一番ですが、もう一つは「映画の狙いを読み取れているのかな」と気になるからです。手元に持っていると、もし映画の中身を忘れてしまっても後で見れば蘇ってくるじゃないですか。
◆観たのに「筋が思い出せない…」

たまたま3月10日に、配信で映画『ある男』を観ました。この番組でも一度、採り上げています。
映画『ある男』のバイプレーヤー・カトウシンスケに注目=2022年12月6日https://news.radiko.jp/article/station/RKB/79924/
映画館で『ある男』は観ていて、断片的な映像はいっぱい浮かぶのに、ストーリーが…。大事なところが、思い出せない。それで、配信でも観て「確かパンフレットがあったはずだな」と思って自宅の中を探しました。
出演は、妻夫木聡さんと安藤サクラさんに、窪田正孝さん。“亡くなった夫の身元調査”という不思議な相談を安藤サクラさんから頼まれた妻夫木さん演じる弁護士が、“ある男”窪田正孝さんの素性を探っていく。
そして、映画のキーパーソンが、刑務所に収監中の詐欺師・小見浦憲男。柄本明さんが演じています。すごく気持ちの悪い詐欺師を演じて、強烈な印象を残します。パンフレットに載っていたインタビューで、照明の宗賢次郎さんがこう言っていました。
――登場人物への照明の演出について教えてください。
例えば、城戸のアイデンティティが最も揺れる場面のひとつに、刑務所での小見浦との面会があります。あそこは撮影、照明、美術含め、石川監督とこれまで見たことのない面会室でいいんじゃないかという話になった。石川監督からは、気づいたら壁が動いていて、背景が変わっているとか、トリッキーなことをやろうと。それが小見浦の人物像に留まらず、彼が放つ気持ち悪さにつながるのではないかという発想で、そこから二転三転し、城戸が面会していると、気づけば小見浦の背中越しに雨が降っているという展開に落ち着きました。結果、上手くいったのではないかと思います。(映画『ある男』パンフレット32ページ)
室内で雨? 配信で観終わった僕は、気づいていませんでした。あまりに柄本明さんが気持ち悪くて、そっちに完全に気を取られていました。だけど、サブスクだから、観直せる。確認したら、本当に雨が降っているのです。雨音もしていました。
「こういう映画の観方は全然ダメだな」とも思った反面、パンフレットとサブスクがあることで確認できました。手元のパンフレットを見直したので、狙い・演出に気づいたのです。悔しくなる反面、気づかないままやり過ごさなくてよかったとも思いました。














