アメリカ大統領選挙はこれから、候補者選びのヤマ場を迎えますが、AI=人工知能を使って、極めて精巧な偽の動画や音声を作る技術「ディープフェイク」が選挙戦に影響するのではないかと、懸念の声が上がっています。
トランプ前大統領(24日)
「我々の予想以上の大勝利だ」
現在、共和党の候補者レースで5連勝を収め、独走状態のトランプ前大統領。アメリカ大統領選は来月5日、多くの州で一斉に候補者選びが行われるスーパーチューズデーを迎えます。
そうした中…
バイデン大統領に似せたフェイク音声
「投票は(本選の)11月にしてこそ影響を与えられる。今週火曜日ではない」
これは先月、ニューハンプシャー州で行われた予備選の直前に、有権者らの電話に届いた自動音声メッセージ。バイデン大統領に似た声で投票しないよう促していますが、人工知能=AIによる「ディープフェイク」です。
ディープメディア社 リジュル・グプタCEO
「アメリカの選挙はいつも接戦です。少しのフェイクが結果に大きな影響をもたらします」
こう指摘するのは、ディープメディア社CEOのグプタさんです。ディープフェイクを検知する「フェイストラッキング」と呼ばれる最先端の技術を持っていて、アメリカ国防総省とも契約しています。
例えば、こちらは実業家イーロン・マスク氏のフェイク動画。トラッキングを重ねると、目の周りは動いていません。このように表情を細かく解析することでフェイクだと見抜きます。
ディープメディア社 リジュル・グプタCEO
「ディープフェイクは人間と同じようには動きません。このシステムは、人間の目では気付かないことも感知するんです」
しかし、当初、フェイクと断定できなかった動画があるといいます。
去年4月に拡散されたヒラリー・クリントン元国務長官のフェイク動画は、当時は把握していなかった方法で作られていて、検知の網をすり抜けました。
作成したのは、政治風刺動画などを発信するグループ。他にも、バイデン大統領のフェイク動画も。
一方…
記者
「トランプ氏に関しては『トランプの伝説』『究極のファイター』など、トランプ氏を称賛する動画が掲載されています」
グループはトランプ氏支持を明確にしていて、代表を務める男性は…
トランプ氏を支持する動画制作グループ代表
「敵を倒すためには真実である必要はない。バズればいいんだ」
今後、ますます増えるとみられるディープフェイク。グプタさんはこう警鐘を鳴らします。
ディープメディア社 リジュル・グプタCEO
「ディープフェイクが危険なのは、本物の動画でさえ信じられなくなることです。政治家が話す動画が本物であっても『フェイクかもしれない』と考えるようになります。気に入らないものがあれば、“フェイクだ”と受け流すことが正当化されてしまうのです」
真実さえも嘘に変えかねないディープフェイク。11月の本選挙に影響を及ぼすのでしょうか。
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